海警法、国際社会はどう理解すれば 中国側専門家に聞く

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上海=井上亮
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 中国外務省系シンクタンク・中国南海研究院(海南省)の呉士存院長は12日までに朝日新聞のインタビューに応じた。2月に施行された「中国海警法」が、中国の主張する「管轄海域」での武器使用などを認めている点について、「法執行には細則が必要で、違法行為があってもすぐに関係する措置が取れるとは言えない」と述べ、同法が定める権限を実行するには時期尚早だとする見方を示した。

南シナ海の問題をめぐっては、仲裁裁判所が2016年、中国側の主張を否定する判決を出しました。これを受けた中国や周辺国の動きとは。記事後段ではこの問題や海警法に関する呉氏との一問一答をお読みいただけます。

 呉氏は南シナ海問題が専門で、中国外務省外交政策諮問委員などを歴任した人物。海警法が日本など周辺諸国の強い反発と懸念を招いたことを踏まえ、中国政府内には過度の摩擦を和らげようとする意向もあるとみられ、呉氏の発言はそうした考え方を反映していると言えそうだ。

 中国は管轄海域の範囲を明確にしておらず、日本や東南アジア諸国からは尖閣諸島周辺や南シナ海が含まれるとの懸念が高まっている。呉氏は「管轄海域は概念があいまい」と認めた上で、「周辺国との間で危機的状況を避けるために、特別な運用プロセスや規範を整備する時間が必要だ」と述べ、慎重な運用が必要だとする見解を示した。

 海警法は国連海洋法条約などの国際法が定める「領海」や「接続水域」といった区分を用いず、中国独自の「管轄海域」という概念を唱えて、その範囲内で海警当局が強制的な措置を講じる権限を定めている。

 2016年、南シナ海問題を巡る仲裁裁判所で、中国の主張を全面的に否定する判決が出てから5年。この間中国は、どのような行動をしてきたのか。南シナ海研究が専門の中国外務省系シンクタンク・中国南海研究院の呉士存院長に話を聞いた。

 ――中国は判決を「紙くず」と一蹴し、受け入れない姿勢を示した。この間、立場に変化はあったか。

 「中国の『受け入れない、参…

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