国文化財の発電所遺構が一部倒壊 九州南部の大雨影響か

白石昌幸、藤原慎一
[PR]

 活発な梅雨前線の影響で、9日から10日にかけて記録的な大雨に見舞われた鹿児島、宮崎、熊本の3県では12日時点で、一部破損や浸水した家屋が計105棟確認された。鹿児島県では、鶴田ダムの湖底に残る国登録有形文化財の「曽木発電所遺構」(伊佐市)の一部が倒壊した。

 鹿児島県によると、住宅2棟が一部破損し、98棟が浸水。がけ崩れや土石流が11カ所で発生し、北薩地域の養鶏場でブロイラー約2万羽が水死する被害が出た。宮崎県では住宅や店舗5棟が浸水した。熊本県では被害はなく、3県ともけが人はいないという。

 伊佐市によると、大雨の後に川内川中流の鶴田ダムの水位を下げたところ、曽木発電所遺構の「機械室」と呼ばれる部分が高さ約8メートル、長さ約30メートルにわたって倒壊していたという。

 遺構は、1909年に建造された水力発電所の跡。66年に鶴田ダムが完成して水没したが、梅雨や台風に備えてダム湖の水位を下げる5~9月にかけて、姿を現す。欧州の城を思わせるれんが造りの優美な姿で、2006年に国の登録有形文化財に指定されている。

 市の担当者は「倒壊した詳しい原因は不明だが、大雨の影響が考えられる。関係機関と修復に向けて検討を始めたい」としている。

 今回の大雨で鹿児島、宮崎両県の4地点で、1時間や24時間などの降水量が過去最多を更新した。一方、九州南部は大雨直後から太平洋高気圧に覆われ、気象庁は11日、九州南部が梅雨明けしたとみられると発表。福岡管区気象台によると、九州北部も近く梅雨明けするとみられるという。(白石昌幸、藤原慎一)