らしさ爆発! コムデギャルソン 花をテーマに新作発表

ファッション

編集委員・後藤洋平
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 コムデギャルソンは12日、東京都内でショーを開催し、2022年春夏のメンズコレクションを発表した。デザイナーの川久保玲が掲げたテーマは「花の存在」。様々な手法で花柄の生地が仕立てられた。

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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)

 この日、ランウェーショーを開いたのは「コムデギャルソンオムプリュス」。川久保自身がデザインを手がけ、コロナ禍以前に参加していたパリ・メンズコレクション全体の顔ともいえるブランドの一つだ。

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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)

 今回特徴的だったのは、ビビッドな色彩と花柄、そしてボリューム感だ。コロナ禍で初めて発表した21年春夏シーズンはシルバーと黒を基調にしたテーラードスタイルだった。翌21年秋冬コレクションでは黒と白を押し出した。

 もちろん、そのいずれのショーでも前衛的なクリエーションだと受け取ったが、感情が“爆発”したような今回のコレクションを目の当たりにすると、前2シーズンはやや抑制的だったのかもしれないとも思える。川久保がメンズコレクションで「色」を前面に出したのは、リアルなショーをパリで開催したコロナ禍前の2020年秋冬シーズンで「カラーレジスタンス」をテーマにして以来だ。

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パリで発表したコムデギャルソンの2020年秋冬メンズコレクション。テーマは「カラー・レジスタンス」だった(大原広和氏撮影)

 川久保はジェンダーレスファッションの先駆。ジャンパースカートや一見女性的なボトムスについてもはや大きな驚きはない。また、これまでのメンズラインでもたびたび発表してファンから支持されているアシンメトリーな形状の服も姿を見せた。

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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)
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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)
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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)

 一方、全体を通して複数の服で見せた、生地を寄せることでボリュームを出す手法や極端に大きな丸襟は「オムプリュス」よりもレディースのコレクションライン「コムデギャルソン」にしばしば登場する表現方法である。今回の「オムプリュス」は、近年では珍しい「コムデギャルソン」の要素が大きく流入し、ある意味で強烈にコムデギャルソンらしいシーズンであるとも感じた。

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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)

 ショーの終了後、川久保は「花の存在はハッピーな時間のためだけにあるのではない。苦しい、哀しい、辛い時こそ存在する。たとえ道に咲く小さな花一輪でも人の心を癒やす」とのコメントを発表した。

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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)

 高田賢三さんや、ランバンを率いたアルベール・エルバスさんら、新型コロナは川久保と同時代にパリの第一線で戦ってきたスターデザイナーたちの命も奪い去った。コムデギャルソンらしさが全開の新作コレクションは、そうした“戦友”たちへの追悼も含め、コロナ禍に苦しむ世界中の人々に向けた川久保のメッセージだろう。(編集委員・後藤洋平

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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)
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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)

 ショーには、朝日新聞のインタビューでコムデギャルソンへの思いを語ったノンフィクションライターの石戸諭さんも招待された。人生で初めてのファッションショーだったという石戸さんは「すごく『強い』ショーだった。うつうつとした世の中で、ポジティブな思いを抱くことができる花柄。この時代を『花』で映すという川久保さんの選択は、さすがのひと言に尽きます」と語った。

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コムデギャルソンのメンズ2022年春夏コレクション(大原広和氏撮影)