コロナで急増「査読前論文」 世界で1万6千本以上

[PR]

 新型コロナウイルスの研究成果の発表に、「プレプリント(査読前論文)」という形式の論文が増えている。京都大学などのチームの解析によると、コロナ関連では、世界中で1万6千本以上が公開された。従来の論文と何が違うのか。

 従来の論文は、研究者が研究成果を学術誌に投稿するものだ。研究分野に詳しい専門家が論文を読み、掲載の可否を判断して改善を求め、修正を経た完成版が載る。こうした過程は「査読」と呼ばれる。

 プレプリントは、こうした査読前にウェブサイト上に掲載される論文だ。

 査読は数カ月や、年単位の時間がかかることも珍しくない。学術誌が有料だと、読むことのできる人は限られる。プレプリントでは、研究成果をスピーディーに発信して、幅広く認知してもらうことができる。一般的に掲載も閲覧も無料だ。

 無料で早いという利点は、新型コロナウイルス感染症で特に注目された。マスクの効果、ワクチンの効果、変異株の情報など、多くの人が一刻も早く知りたい情報を、世界中の研究者が公開した。

 公的機関も対応を進めており、米国立医学図書館は、米国立保健研究所(NIH)が助成した成果のプレプリントを、論文データベースで読めるようにした。

 こうした中、京大の井出和希元特定助教(現大阪大特任准教授・社会健康医学)らのチームは、世界の主要な掲載サイトを対象に、2020年1月から同9月までに公開された新型コロナ関連のプレプリント数を調査した。20年4月以降、月に2千本以上のペースで爆発的に増加し、20年9月末で累計1万6千本以上に達したことがわかった。

 井出さんは「得られた知見を迅速に共有する上で有用だ」と評価する一方、「内容についてはディスカッションが前提だ。精査せずに政策などの根拠にされたり、報道されたりすることで社会に影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。

 内容に不備や不正があった際…

この記事は会員記事会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[記事一覧へ]