退部者が続出…倉庫の本が転機に 学んだ主将の「心」

吉村駿
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(12日、高校野球京都大会 山城4-3亀岡)

 八回に逆転され、なおも2死一、三塁のピンチで、亀岡の主将、川勝友翔(ゆうと)君は先発の田村崚(りょう)君に代わりマウンドに上がった。「2年の田村が疲れていた。ここは抑えるから安心しろという気持ちだった」。打者を中飛に打ち取り、右手で小さく拳を握った。

 昨秋の府大会は、同じ公立の西京に大敗。川勝君は「このままだったら、夏も同じ結果になる」。危機感に襲われ、打撃練習では、金属バットより100グラムほど重い、木製のバットを導入。力不足で振りが鈍い仲間には、「打てないとチームに迷惑かけるぞ」と厳しい言葉をかけた。

 だが11月、主力選手1人を含む3人が、突然練習に来なくなった。「思いが先走り、仲間の様子を見ていなかった」。それぞれの家に行き「最後の夏までやり続けろよ」と呼びかけたが、3人は退部した。

 その後部員は9人に。練習が寂しくなり「主将としてすごく落ち込んだ」。そんな時、グラウンドの倉庫にあった「主将心」という本が目に留まり、冬の間、寝る前に毎日読み進めた。

 学んだのは、主将には言葉より、自らの姿勢が求められるということ。小さなことから、「やるぞ」という姿勢を示した。手がマメだらけになっても、淡々と重いバットを振る。ノックではエラーをしても、かれるまで声を出す――。春には、1年生が10人以上も入部してきた。

 試合後、大粒の涙を流す田村君に声をかけた。「今日までついてきてくれてありがとう。次はエースとして亀高を引っ張ってくれ」(吉村駿)