髪を贈れば解決ではない 31cmめぐるストーリー

有料会員記事

寺尾佳恵
[PR]

 長く伸ばした髪が誰かの役に立つと知っていますか――。年々広がるヘアドネーション(髪の寄付)に関する書籍が先月、出版された。寄付した髪がウィッグになるまでの流れや、受け取った側の思いなど、さまざまな疑問に答えるカラフルなイラストと写真、インタビューが詰まっている。

 切った髪を寄付するヘアドネーションは米国で始まったとされる。日本では美容師の渡辺貴一さん(50)らが2009年にNPO法人「JHD&C(ジャーダック)」(大阪市)を立ち上げて活動してきた。10周年を記念し、今回、書籍を作ることになった。

写真・図版
「JHD&C」が監修した本「31cm」を紹介する渡辺貴一さん。後ろの棚には全国各地から届いた髪の毛が並ぶ。手前の段ボールには長さごとに仕分けられた髪の毛が入っている=2021年6月23日、大阪市北区浪花町、寺尾佳恵撮影

 書籍のタイトルは「31cm」。31センチは寄付に最低限必要な髪の長さで、髪を贈った側や受け取った側、計16人の経験談や思いが記されている。活動に賛同する15人のイラストレーターが寄せた作品と、様々な表情を写した写真も掲載。ウィッグをつけた姿も、素のままの姿も生き生きと写し出されている。

 小学生の時に3回髪を寄付した男子中学生は、長い髪をジロジロ見られたことがある。でも、「僕が目立てば、みんな知ってくれる」と自由研究などで積極的に発表してきた。

 「ヘアドネーションは自分のできる範囲で楽しんでやったらいい」。いつか髪に悩む人が「ウィッグをつけるのも、つけないのも、別にいいじゃん」と思える日が来ることを期待する。

写真・図版
「JHD&C」が監修したヘアドネーションの活動をまとめた本「31cm」=2021年6月23日、大阪市北区浪花町、寺尾佳恵撮影

 小学6年生の時に脱毛症になり、JHD&Cのウィッグを受け取った女子中学生は、「ウィッグの髪をジョキッと切られる音を聞いたとき『あぁ、久しぶり~』と思った」という。届いたウィッグを、自分に合わせてカットしてもらった。「ウィッグをつけたことで周りの目が気にならなくなり、自信がついた」

 俳優の柴咲コウさんは201…

この記事は有料会員記事です。残り873文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る!】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら