在庫過剰ワイナリー、飲んで救おう 「ぜひ一升瓶を」

永沼仁
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 コロナ禍で在庫を抱える県内のワイナリーを救おうと、甲府市の酒販店が「飲んで守ろう日本ワイン」と名付けた支援販売を続けている。在庫がさばけないと、昨年仕込んだ醸造タンクを空にすることができず、これから始まる新酒づくりに影響が出てしまうという。

 大量の在庫を抱えているのは、笛吹市御坂町の「笛吹ワイン」。主に親会社の観光農園の利用客向けにつくってきた。しかし、桃やブドウ狩りを楽しむ団体客が減り販売も激減した。

 ワイナリーには、醸造タンクが大小合わせて25基ある。例年3万~4万リットルを仕込み、7月には20基以上のタンクが空になる。昨年は長雨で収量が減り、醸造量も約2万4千リットルにとどまったが、空のタンクは6~7基しかない。

 今季の仕込みは、8月上旬からデラウェア種を使って始める。そのためのタンクは確保したが、9月に始めるマスカット・ベーリーA種の醸造には、タンクが足りなくなる。「委託農家がブドウを持ってきても、このままでは買い上げを制限することになるかもしれない」。醸造責任者の矢崎雅也さん(39)は、そう嘆く。

「飲んで守ろう日本ワイン」

 甲府市朝気3丁目の酒販店「酒のディアーズ」の店主、米山直人さん(53)は今年5月、店に来た矢崎さんから窮状を聞き、在庫の解消に向け独自の「キャンペーン」を考えた。

 題して「飲んで守ろう日本ワイン」。赤ワイン用品種マスカット・ベーリーAを主体に白ワイン用品種の甲州など4種のワインをブレンドした特注品を醸造してもらい、店頭で販売することにした。

 経費を削るため、瓶の表のラベルは省いた。法律上必要な裏ラベルと、米山さんが考えたコピーをタグにしてぶら下げただけの素朴な外見だ。「渋みが少ないので、冷やして飲める赤として楽しんでほしい」と話す。

 売り上げ目標は、一升瓶(税込み1800円)が180本、720ミリリットル(同1100円)が150本。1カ月で目標の半分ほどに到達した。「山梨県民はワイン好きが多い。ぜひ一升瓶を試して応援してほしい」

 問い合わせは笛吹ワイン(055・263・2299)、酒のディアーズ(055・228・6123)へ。(永沼仁)