古代エジプト全史、金沢から世界へ 河合望・金沢大教授

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編集委員・中村俊介
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 古代エジプト文明の専門家、河合望(のぞむ)・金沢大教授(52)がこのほど、新著『古代エジプト全史』(雄山閣)を出した。ここ20年、国内で古代エジプトの通史はほとんど出ていないといい、最新の知見をたっぷり詰め込んだ。新著に込めた思いを聞いた。

 古代エジプト史の見方は刻々と変化している、という。たとえば、かつてファラオの力が弱まれば王権の衰退と単純にとらえられてきた。が、逆に地方都市で地域文化が花開く現象もみられるなど、必ずしも衰退一辺倒では理解できないこともわかってきた。

 『全史』が扱う時間幅は、先王朝時代からプトレマイオス朝までの約5千年を中心に、射程は旧石器時代までさかのぼる。なかでも自らが手がけてきた新王国時代の第18~19王朝には力が入っているようだ。アクエンアテン王による伝統的な多神教から一神教への断行やその後の揺り戻しなど「宗教改革」に揺れ動いた混乱期、ちょうど黄金のマスクで有名な青年王ツタンカーメンのころである。

 「昔、NHKの『未来への遺産』を見て衝撃を受けて。父にツタンカーメンの本を買ってもらって何度も読みました」。そんな研究人生の原点が近刊にも熱くにじむ。

 東京生まれ、埼玉育ち。神社仏閣や歴史好きの少年だった。エジプトに魅せられ、早大とジョンズ・ホプキンス大で研鑽(けんさん)を積んだ。発掘もすれば、ヒエログリフ(聖刻文字)など文字資料も読む。「考古学や文献を区別せず、総合的にアプローチし発信したい。かつてくわを入れ続けたパイオニア世代に対し、われわれは問題意識と大きなビジョンを持つことが大事です」

 エジプトやメソポタミアの調…

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