独自

鬼滅の複製原稿、集英社が作り直し 「作りが雑」と苦情

杉浦幹治
[PR]

 昨年末に人気漫画「鬼滅の刃」の「複製原稿」として販売した作品に重大な問題があったとして、集英社が複製原稿を新たに作り直し、販売済みの商品と交換することが14日、わかった。約4万円と高額ながら、購入者からネット上で「作りが雑」などの批判が出ていた。

 複製原稿は、漫画家が実際に描いた生原稿に近い仕上がりを再現した商品。欄外にはみ出した絵やアシスタントへのメモ、鉛筆の下書き、塗りむらなどを残した形で販売されるケースが多い。

 商品は、昨年12月にオンラインで開催した「ジャンプフェスタ」で販売した。最終話の一つ前の第204話の原稿33枚を1セット3万8500円で売り出し、商品説明では「原画に忠実」とうたっていたが、実際はコミックや雑誌に載ったものを原稿用紙に引き伸ばして印刷しただけに近いものだった。販売サイトで示したサンプル画像に比べ、絵の外側が切れたカットが複数あり、コミックや雑誌掲載時より絵の範囲が狭くなっているものもあった。

 4月中旬に購入者の元に商品が届き始めると、同社には問い合わせや苦情のメールが相次いだ。当初は返金に応じつつ、「商品に問題はない」との対応を取ったが、販売した472部のうち35%の166部を返金する異例の事態になった。

「複製原稿の名に値しないものだった」

 6月中旬、作者の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)氏が集英社に制作した経緯の説明を求め、社内調査した結果、複製原稿の経験の浅い担当者が制作していたことがわかった。同社広報部によると、担当者はすでに掲載されたものが完成形で、それに忠実であればいいと考えたようだという。

 同社は6月末に「複製原稿には先生の息づかいや筆致がリアルに感じられるものが期待されているが、今回はその名に値しないものだった」と結論づけ、新たな複製原稿を購入者向けに作り直すことにした。購入者が希望すれば、返品を前提に新たな商品を届ける。すでに返金した人も購入できるようにする。新しい複製原稿にはセリフを貼り付けた跡や枠外にはみ出た絵、トーンを貼る場所を指示した跡なども収録する予定だ。

 昨年5月に週刊少年ジャンプ誌上で応募者全員サービスとして販売した最終話の小型版複製原稿(3850円、7万5692部)も作り直し、交換の対応を取る。

 同社広報部の担当者は「デジタルで執筆する先生も増えている中で、複製原稿の仕様は多様化しているが、今回の商品は、私が購入者だったとしても怒りを覚えただろう内容で、大変申し訳ない。今後は仕様を明示するなど、再発防止を徹底していく」としている。杉浦幹治