第165回芥川賞・直木賞、きょう決定 見どころは

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 第165回芥川賞・直木賞日本文学振興会主催)の選考会が、14日午後3時から東京都内で開かれる。芥川賞、直木賞ともに候補作は5作品。夕方から夜にかけて受賞作が発表される予定だ。

 芥川賞は候補者5人のうち3人が初めての候補入りだ。短歌やエッセーで活躍するくどうれいんさんは、初めて文芸誌に発表した小説「氷柱(つらら)の声」(群像4月号)でノミネート。東日本大震災の発生時に高校2年生だった主人公を軸に、当時言葉にできなかった思いや葛藤、記憶が薄れることへの焦りを描く。震災から10年の今年、同じく震災を主題にした石沢麻依さんの「貝に続く場所にて」(群像6月号)も候補に。石沢さんは仙台市出身で、ドイツ在住。震災で行方不明になっていた友人が幽霊となってあらわれる今作で文芸誌の新人賞を受け、デビューした。

 2019年に文芸誌の新人賞から世に出た高瀬隼子(じゅんこ)さんは、4作目となる「水たまりで息をする」(すばる3月号)で初めて候補入り。突然、風呂に入らなくなった夫との生活を、日常のままならなさに重ねて描く。

 2度目の候補入りとなったのは、哲学者の千葉雅也さん。19年に候補となった小説「デッドライン」につづき、ゲイの男性を主人公にした「オーバーヒート」(新潮6月号)でノミネートされた。台湾出身の日本語作家、李琴峰さんも「彼岸花が咲く島」(文学界3月号)で2度目の候補入り。女性が指導的立場になる架空の〈島〉を舞台に、ジェンダー平等の寓話(ぐうわ)を描いた。

 直木賞は、5回目の候補入りとなった澤田瞳子さんが最多ノミネート。幕末明治に活躍した絵師、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)の娘を主人公にした「星落ちて、なお」(文芸春秋)で選ばれた。「おれたちの歌をうたえ」(文芸春秋)で2度目の候補入りとなったのは、呉勝浩さん。元刑事が幼なじみの死をきっかけに、かつて故郷で発生し、友と自分の人生に影を落とした事件の真相に迫るミステリーだ。

 あとの3人はいずれも初めての候補入り。佐藤究(きわむ)さんは、今年山本周五郎賞を受賞した「テスカトリポカ」(KADOKAWA)で名を連ねた。メキシコの古代アステカ文明と日本の川崎市をつなぐノワール小説だ。同じ山本賞で次点となった砂原浩太朗さんの時代小説「高瀬庄左衛門御留書」(講談社)も候補入り。架空の藩を舞台に、下級武士の人生を描く。

 ボーイズラブ(BL)小説の書き手として活躍する一穂ミチさんは、BLのジャンルを超えて初めて挑んだ短編集「スモールワールズ」(講談社)で候補に入った。