謹慎の前田大然に「教えられた」 美談ではない高校時代

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岩佐友
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 チームのために走る。サッカー東京オリンピック(五輪)代表FW前田大然(23)=横浜F・マリノス=の持ち味は献身的なプレーだ。その原点は山梨学院高時代にある。謹慎処分からプロ入りへ――。当時の恩師で現在アルビレックス新潟シンガポール・テクニカルダイレクターの吉永一明さん(53)が激動の日々について語った。

大然から届いた「贈り物」

 3月のある日、吉永さんの自宅に贈り物が届いた。

 「ブルーペナント」

 日本代表に選ばれた選手が、それまでお世話になった指導者に贈ることのできる記念品だ。感謝状には、直筆でメッセージが記されていた。

 「今の僕があるのは吉永さんのおかげです。本当にありがとうございます」

 差出人は前田だった。

 「指導者をやっている中で、これほどうれしいものはない」。良いことも、悪いことも、忘れられない濃密な時間をともにしたからこその思いだった。

 吉永さんが初めて前田に会ったのは2012年夏。監督として率いていた山梨学院高が大阪に遠征した時だった。

 当時大阪に住んでいた中3の前田が2年前の全国選手権優勝を見て入学を希望していると聞き、練習に参加させたのだ。目を引いたのは抜群のスピード。「面白い選手になる」。そう直感し、入学が決まった。

耳に入った前田大然の変化

 1年の時から主力組に食い込んだ前田に期待を寄せていた。「問題」が起きたのは年が明けた頃だった。数人の部員がチームの規律を乱す行為をしたことがわかったのだ。その一人が、前田だった。

 吉永さんは事態を重く受け止めた。他の職員とも話し合い、前田には部活参加禁止の処分を下した。

 「問題を未然に防げなかったのは自分の責任」。今でもそう悔やむ。その上で、苦渋の決断に込めた思いをこう振り返る。

 「彼が再びサッカーに戻ってこられるかどうかは本当に賭けだったが、まずは悪いことをしたと受け止め、成長してくれることの方が大事だった」

 転校の選択肢もあった中で学…

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