障害ある仲間へ、楽に捕れる特製グラブを 部員が発案

雨宮徹
[PR]

 全国高校野球選手権岡山大会に出場する和気閑谷(しずたに、和気町)は、障害者野球チームの名門「岡山桃太郎」と交流を続けている。部員たちは今年、障害のため握力が弱い野球仲間に、特製のグラブを贈った。

 交流のきっかけは2018年7月の西日本豪雨。岡山桃太郎が練習に使っていた岡山県高梁(たかはし)市の河川敷が浸水し、和気閑谷がグラウンドの提供など協力を申し出た。以降、両チームは合同で野球教室を開いたり、練習試合をしたりしている。

 岡山桃太郎の一塁手で高校1年の箕輪遥介君(15)=同県倉敷市=は、手足の筋力が弱っていく難病のため、親指が思うように動かせず、握力は左右1~2キロしかない。利き手の右手で押さえるなどして捕球してきたが、グラブごと落としてしまうこともあった。

 そんな箕輪君のために、和気閑谷の部員たちは、特別なグラブをプレゼントしようと決めた。

 昨年も、左の手首から先がない早嶋健太投手(25)のため、左手を入れるポケットが背面に付いたグラブを、岡山市の野球用具店「タカギスポーツ」と一緒に作った。

 今回も部員たちがアイデアを出し合い、タカギスポーツに相談。一塁手の石野翔大朗君(3年)は、「軽く柔らかい素材を使う」、捕手の藤原鉄朗君(同)は「グラブを左手首にバンドで固定する」と提案した。これをもとに職人が作業を始めた。

 グラブは5月に完成した。網の上部にボールが引っかかるストッパーを付けて落球しにくくし、革も薄くて柔らかいものに。手首に固定するバンドもついた。

 「軽い」「楽に捕れる」。受け取った箕輪君は、石野君と藤原君に笑顔を見せた。今はこのグラブでレギュラーを目指しているという。

 石野君も箕輪君たちから良い刺激を受けている。「岡山桃太郎の選手はとにかく野球を楽しんでいる。見習って全国レベルの力をつけたい」。和気閑谷の浮田圭一郎監督(43)は交流について「野球への視野を広げ、欠けているものは補い合えばいいと学んでくれた」と話す。同じような状況にある選手に特製グラブを使ってほしいという。

 和気閑谷は15日の1回戦で邑久(おく)と対戦する。(雨宮徹)