菅首相の謝罪が刺さらぬわけ 過ちとの向き合い方とは

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コラム「経済季評」 経済学者・竹内幹さん

 東京オリンピックの開幕を目前に、4度目となる緊急事態宣言が発出された。菅義偉首相は8日の記者会見で「国民の皆様に様々なご負担をおかけすることは、大変申し訳ない」と述べた。前回の緊急事態宣言の時に、「心からおわびを申し上げる」と会見で言ったばかりだ。

 首相の謝罪の言葉は、意味のない決まり文句になってしまったが、世界でなされた謝罪には、歴史的に重要な意義をもつものも多い。

 国のリーダーによる謝罪として有名なのは、1970年にポーランドのワルシャワ・ゲットー(ユダヤ人隔離地域)を訪れた西独のブラント首相によるものだろう。記念碑の前でひざまずいて黙禱(もくとう)する首相の姿は、戦後ドイツの新しい外交を象徴するものとして記憶されている。

 歴史的謝罪を多くなしたのが、教皇ヨハネ・パウロ2世だ。例えば、17世紀に地動説を唱えたガリレオを異端としたことは誤りであった、と92年に認めた。さらにさかのぼれば、1204年に起きた十字軍によるコンスタンチノープルの略奪についても、彼は謝罪している。

たけうち・かん 1974年生まれ。一橋大学准教授。研究テーマは実験経済学、行動経済学。

 こうした歴史的事件への謝罪は、20世紀末から顕著になってきた。

 米国政府は1993年に米国…

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