世界の京アニにした「天才」 恩返し胸にその教え伝える

有料会員記事

白見はる菜
[PR]

 2年前の京都アニメーション放火殺人事件で亡くなった36人の中に、「天才」と呼ばれたアニメーターがいた。「ドラえもん」「火垂(ほた)るの墓」「AKIRA」といった人気映画の原画を手がけた木上益治(きがみよしじ)さん(当時61)。その薫陶を受けた上宇都(かみうと)辰夫さん(57)は今、未来のアニメーターを育てることに力を注ぐ。「恩返し」。その思いを胸に。

写真・図版
ホワイトボードを使って人体を描く作画の基本を教える上宇都辰夫さん=2021年7月13日午前、大阪市北区の大阪アニメ・声優&eスポーツ専門学校、小川智撮影

 大阪市北区の大阪アニメ・声優&eスポーツ専門学校。上宇都さんの担当授業で5人の学生が原画を描いていた。絵コンテ通りにキャラクターが自然に動くよう、何枚も描く。上宇都さんも新作アニメ用の原画を描きながら、学生の作業を見守る。

 「袖がとんがってるから、ちょっと丸めて」「肩を上げる動きやから、下方向に服のしわをのばして」

 学生が持ってくる原画に、上宇都さんは鉛筆で薄く線を描き込んで助言した。アニメーション制作コース2年の浅田海生(みお)さん(19)は「おっとりした性格だけど、いつも欲しいアドバイスをピシッとしてくれる。これがプロの線や絵か、すごいなあと思う」。

 上宇都さんが京アニに入社したのは1985年だ。当時、創業からまだ4年がたったばかり。2軒長屋の1軒が作業場で、下請けとしての作画の仕上げが作業の中心だった。

 ちょうどその頃、会社はもともとの作画にも力を入れることになった。「作画をしたい」と希望していた上宇都さんにチャンスが訪れた。

 作画の仕事が少ないときでも…

この記事は有料会員記事です。残り1383文字有料会員になると続きをお読みいただけます。