「俺は4月に来て感謝しています」 監督から最後の言葉

上田真仁 滝口信之 田中基之 笠井哲也
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 勝者の数だけ、敗者がいる。第103回全国高校野球選手権福島大会では試合後、敗れたチームの監督は選手たちに思いを込めた言葉を贈った。

福島明成の長沢敏浩監督(49)

(1―6会津=1回戦)

 残念でした。俺は4、5、6月の3カ月しか3年生と野球ができなかったけれど、4月から俺が言ってきたことを何とかやろうとして頑張っている姿を見ることができて、最後の大会、うれしく思います。

 ふつうだったら、もう短いイニングでこけていたよな。今までだとな。粘り通したじゃない、ずっと。防戦一方だったけどさ。九回までずっとなんとか粘った。今までのもろさを何とか自分たちで克服した。

 3年生、俺は4月に(福島明成に)来て感謝しています。何に感謝しているかというと(前監督の鈴木)祐太朗先生に、いい生徒を残してもらったなと。素直で一生懸命やる。おもしろいしさ。楽しくすごせた。チームに自然と俺が入ることができたのはみんなのおかげだなーっと思っています。

 これから自分の人生の中でこの経験を生かしながら人生を歩んで欲しい。まだまだつらいこといっぱいあるぞ。悔しいこともいっぱい出てくると思うけど、高校野球で培った心と体で、人生を乗り切って下さい。(上田真仁)

会津学鳳の皆川俊哉監督(29)

(1―8須賀川=2回戦)

 新チームになって初めはうまくいかなくて、練習試合も一つも勝てないまま、秋の大会に臨んだら、意外と勝って、県大会に出場できた。いいことも、悪いことも、悔しいことも、感動することも、この3年間経験できたんじゃないかなと思う。負けてしまうことは悔しいけど、やっぱり総じて思うことは、高校野球は素晴らしい。素晴らしい最高のプレーを見せてくれた。

 だからこそ、1、2年生も、その下の子たちも高校野球を続けて欲しいと思う。3年生も大人になって、うまくいったりいかなかったりと繰り返しになると思うけど、必ずまたはい上がれる時が来る、頑張れる時が来る。高校野球でそれを経験したと思うので、今後の人生で絶対生きてくると思う。

 今後の人生も必ずと言っていいほど、うまくいかない時や結果が出ない時が来る。俺もまさに今、それを経験しているところ。絶対に諦めなければ、結果が出る時は来る。3年生は実感したと思うので、今後の人生も決して諦めずに、そして放り出さずに頑張って欲しい。(滝口信之)

喜多方桐桜の矢部恭平監督(32)

(2―5田村=2回戦)

 スポーツって残酷で、一生懸命がんばったからといってそれは結果として出るわけではない。今回、勝つことはできなかったけれども、ただ結果が出ることを信じて、ずっと練習を3年間やってきたことの頑張りというのは、絶対無駄にはならない。これから生きていく上で絶対たくましくなれるぞ。

 3年間ずっと楽しく高校野球できたかというと、そうでもないだろう。嫌な時も、やめたいなあと思った時も。なんでこんなことやってんだろう、って思う時もあっただろう。だけど、この経験はすごく大事かな。俺も高校野球3年間やっていたけど、いまの俺の根底にあり、たぶんお前らもそうなるから。

小野・四倉・相馬農の佐藤克哉監督(29)

(1―14郡山東=2回戦)

 4月末に連合チームの結成が決まったが、5月はコロナで合同練習が中止になった。6月に入ってからわずか4回の合同練習で大会に臨んだ。率直に言うと、もうちょっと、みんなと早く出会いたかった。もう一カ月早かったら、コロナがなかったら、練習をもっと一緒にできたらという悔いがある。

 だけど限られた練習回数の中でこの日を迎え、結果は大差で負けたけれども、試合ができてよかったなあと思う。小野高校に来て、連合チームは4回目なんだけど、人数が少ないということは逆に言えば野球が好きな者同士の集い。毎回、素敵な出会いをくれる場だと感謝している。

 試合後、みんなは楽しんで試合をやり切ったと言ってくれた。少ない人数でも、しっかり準備をしてきたからそう言えるのだろう。目標のために準備をすることや、諦めないことの大切さを学べたので、高校野球で十二分に得るものがあったんだと思う。自信をもって次に進んでほしい。(田中基之)

若松商の三留豪人監督(32)

(1―5白河実=2回戦)

 もっといい思いをさせてあげたかった。うまい具合に結果を出してあげられなくて、申し訳なく思っている。一生懸命やってきたつもり。前の監督さんと比較されていることも承知している。言葉足らずの部分もあり、もっと長く野球をやらせてあげたかった……。

 ヒット数は相手を上回っているのに、点数につながらず、悔しい……。

 コロナ禍の中で野球を思うようにやらせてあげることができなかった。頼りないところをたくさん見せてしまって申し訳なかった。

 3年生の悔しい思いを背負って、1、2年生の指導にあたりたい。

安達の橋本紀彦監督(47)

(0―5福島商=2回戦)

 この2カ月間、特に重視してやってきた守備の連係はいかんなく発揮できたと思います。大きなミスもなく、高く上がったフライも外野手がみんなでよく捕り、内野手もしっかりボールをさばいた。練習のたまものだったと思います。

 0点は結果であって、人生のスコアボードはこれからまだ続きます。ですから人生のスコアボードにまずは「1」を、特に3年生は自分の進路に向かって、限りない闘いが続いていきます。ぜひともスコアボードに1を積み重ねていって下さい。1、2年生は一歩目を大切に野球も勉強もやって欲しいなと思います。

 もう少しこのチームで野球をやりたかったな。私の力不足の一言に尽きると思う。2年後の安達高校100周年にむかって、先生も精進し、やっぱり1という重みを大切にしながら、やっていきたいと思います。(笠井哲也)

安積黎明の鈴木雅彦監督(44)

(3―7白河=1回戦)

 3年生はいいチームを作って、歴史を変えてくれたな。努力はうそをつかないという言葉があるけど、俺はやった結果が素直に出るのが努力だと思う。その成果が出た試合だった。3年生にはこの経験を忘れずに人生を突き詰めてほしい。そして、進学後も野球を続ける者は一生懸命取り組んで欲しいし、やめる者も野球以外のことにトライし続けて欲しい。

 1、2年生は学校に帰れば、試合に負けてもみんなが「お疲れさま」と声を掛けてくれると思う。でも、その言葉に満足しないで欲しい。負けたことをしっかりと受けて止めて、この先の練習に取り組んで欲しい。「新チームになったらこうしたい」という思いもあると思うけど、まずは3年生が作ってくれた自分らで作る野球をしっかりと引き継いで、これを進化させていって欲しい。