芥川賞・直木賞、受賞者のプロフィールは? 喜びの声も

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 第165回芥川賞・直木賞日本文学振興会主催)の選考会が14日、東京都内で開かれ、芥川賞は石沢麻依さん(41)の「貝に続く場所にて」(群像6月号)と李琴峰(りことみ)さん(31)の「彼岸花が咲く島」(文学界3月号)、直木賞は佐藤究(きわむ)さん(43)の「テスカトリポカ」(KADOKAWA)と澤田瞳子(とうこ)さん(43)の「星落ちて、なお」(文芸春秋)に決まった。副賞は各100万円。贈呈式は8月下旬に都内で開かれる。

芥川賞 石沢さん、李さん

 芥川賞に決まった石沢さんは1980年、仙台市生まれ。東北大学大学院文学研究科修士課程を修了し、現在はドイツ在住で現地の大学院博士課程に在学している。受賞作は今年の群像新人文学賞を受賞したデビュー作。コロナ禍が影を落とす異国の街に、東日本大震災の記憶、現実と非現実の境界を重ねて描いた。

 李さんは89年、台湾生まれ。台湾大学卒業後の2013年に来日し、17年に日本語で初めて書いた小説で作家デビューした。芥川賞の候補入りは2度目だった。受賞作は「ニホン語」と「女語(じょご)」という二つの言語がある架空の島の習俗や歴史を、ジェンダーをめぐる物語として描く。日本語が母語ではない作家の芥川賞受賞は、08年の楊逸(ヤンイー)さん以来、13年ぶり。

 石沢さんはドイツからオンラインで受賞会見に参加し、「非常に伝統のあるすばらしい賞で、実感が追いつかない。うれしいというよりは、とてもおそろしい」。李さんは会見で「母語ではない言語で書く2人目の受賞者になって光栄」と喜んだ。

 芥川賞の選考委員を代表して、松浦寿輝さんが「『貝に続く場所にて』は小説にしかできない世界を作り出そうとしている。『彼岸花が咲く島』は独特な言語空間を作り上げる野心的な冒険性が理解された」と講評した。

直木賞 佐藤さん、澤田さん

 直木賞に決まった佐藤さんは77年、福岡市生まれ。04年に作家デビューし、直木賞の候補入りは初めてだった。受賞作はメキシコの古代アステカ文明から日本の川崎市までをつなぐ壮大なノワール小説。今年はこの作品で山本周五郎賞も受賞している。

 澤田さんは77年生まれ、京都市在住。奈良仏教史の研究者を経て10年にデビュー。直木賞は15年に「若冲(じゃくちゅう)」で候補になって以来、5度目の候補入りだった。受賞作は幕末明治に活躍した絵師、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)の娘が主人公の歴史時代小説だ。

 直木賞の選考委員を代表して、林真理子さんが「3時間にわたる大変な激論だった。『テスカトリポカ』は、見てきたようにうそを書く。女性の選考委員が熱烈に支持した。『星落ちて、なお』は地味な主人公だが、きめ細かな描写で最後まで読ませた」と評した。

 受賞会見で佐藤さんは、「3年半かけて書いているあいだは、こんなに大きな賞をとるなんて頭になかった。何事もやってみなければわからない」。5回目の候補入りで受賞が決まった澤田さんは、「生前に親しくしていた(先輩作家の)葉室麟さんと同じ回数で受賞できたことがうれしい」と語った。