返礼品バブルの崩壊した町の今 「何も残らなかった」

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羽賀和紀
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 ふるさと納税の返礼品を巡り、1億円近くの賄賂を業者から受け取ったとされる高知県奈半利町の元職員の公判が14日、高知地裁で始まった。被告は一部の起訴内容について無罪を主張したが、町は国に虚偽の報告をしていたとして、制度から除外されている。返礼品バブルに沸いた人口約3千人の町を訪ねた。(羽賀和紀)

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 「一体あの騒ぎは何だったんだろうね」。70代の女性は言葉少なに語った。

 土佐湾に面した奈半利町の加領郷(かりょうごう)地区。町の中心部から車で10分ほどの港町では、20年ほど前から地元の女性たちが細々と水産加工品を作り、販売している。

 高級魚のキンメダイの干物を作っても高値で売る先がない。わざわざ遠くの小さな漁港まで買いに来る客もいない。「素人の集団だから商売にならなかった」

 その港町を一変させたのが受託収賄罪などで起訴された町職員(当時)の柏木雄太被告(42)だ。2016年秋、「干物を返礼品に入れたい」と声をかけに地区へやってきた。

 テレビ番組の取材を受け、有名タレントが干物を絶賛。ふるさと納税サイトでは、安値のアジやカマスも高級品になった。「大きな口(販売先)を見つけてきた」。業者も町幹部も、柏木被告の手腕をたたえた。

 月600件の注文が舞い込み、女性らは朝から晩まで休みなく働いた。売上高は10倍に増え、17年度は3千万円を超えた。収益の出なかった商売が、水産加工グループの従業員にボーナスまで出るようになった。

 奈半利町はふるさと納税制度…

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