芥川賞の李琴峰さん 「受賞の連絡、2回受信拒否した」

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 「彼岸花が咲く島」(文学界3月号)で第165回芥川賞に決まった李琴峰さんの、受賞記者会見での主なやり取りは次の通り。

李さんは89年、台湾生まれ。台湾大学卒業後の2013年に来日し、17年に日本語で初めて書いた小説で作家デビューした。芥川賞の候補入りは2度目だった。受賞作は「ニホン語」と「女語(じょご)」という二つの言語がある架空の島の習俗や歴史を、ジェンダーをめぐる物語として描く。日本語が母語ではない作家の芥川賞受賞は、08年の楊逸(ヤンイー)さん以来、13年ぶり。

 ――いまの気持ちをお聞かせください

 受賞の連絡をいただいたとき、本当に驚きました。トイレのなかにいたんですよ。2回受信を拒否しました。タイミングがわるい(笑)。受賞していちばん言わなければいけないことは感謝ですね。小説は一人でも書けますが、読者に届けるためにはいろんな方が関わっていないといけないし、ましてや受賞となると文学賞の選考委員の方々や運営スタッフの方々、ほんとうにありがとうございます。いちばん感謝しないといけないのはこれまで作品を読んで応援してくれた読者のみなさんです。李琴峰は芥川賞を取る前から読んでいたと胸を張って言えると思います。

 ――受賞後に最初に連絡したのは?

 台湾のメディアに知り合いがいて、受賞したよと連絡したら駆けつけてくれました。

 ――ご家族には?

 私の家族はみんな台湾にいて日本のことをあまり知らない。芥川賞ってなにそれという感じなので、ネットニュースのURLを送った。候補になったことも言っていない。

 ――2008年の楊逸(ヤンイー)さんにつづく日本語を母語としない作家の受賞です

 やっぱり母語ではない言語では生活するのも大変だし、小説を書くとなるとほんとうに大変。だから楊逸さんもずっと尊敬していました。今回、非日本語話者の2人目の受賞者になってほんとうに光栄に思います。

 ――選考委員の松浦寿輝さんがこの作品は日本語や日本文学の未来を新しくしていくようなものであると。日本の文学史上でどういった役割を担いたいですか

 これまで作品で一作ごとに日本文学というものを確実にアップデートしてきたという自負はある。私は自分が大事だと思っている問題意識を小説に取り込んで、自分が書きたいものを書いていくことに尽きる。

 ――過去の作品では台湾の「ひまわり学生運動」を書き、本作でも歴史が語られる。社会と文学のかかわりで考えていることは

 あくまでも私の理解では、ここ数十年の日本文学では政治に言及したり社会の問題に踏み込んだりすることに抵抗感があるような気がする。政治に批判する意味を込めた小説を書くと欠点のように言われるが、別にあってもいいんじゃないかと思う。それは私を培ってきた台湾文学の土壌にそういう特徴があったからじゃないかとも思います。

 ――日本語の魅力にひかれて海を渡った。日本語のおもしろさ、好きなところは

 とあるエッセーでも書いたが…

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