光と風を絶妙デザイン デジタル技術、建設業界の潮流

有料会員記事

木村聡史
[PR]

 高さ約60メートルの天窓から注がれる自然光がビルのアトリウム(吹き抜け)を優しく包んでいた――。この絶妙な光は「コンピュテーショナルデザイン」と呼ばれるデジタル技術を駆使して導き出されたものだ。いま建設業界で大きな潮流となりつつある。

 東京都江東区豊洲、豊洲市場の再開発地区に8月末に完成するオフィスビル「メブクス豊洲」は地上11階建て。天井から地上階を貫く中央部の大きな吹き抜けが目を引く。各階の壁面は鋼製パネルで、それぞれ角度も形もばらばら。複雑で芸術的ともいえる姿は、氷河や雪渓にできる深い割れ目「クレバス」をイメージしたという。

 吹き抜けの天窓からさし込む光には、まぶしさをほとんど感じない。それでも途中から暗くなることはなく、各パネルを反射した光が1階まで届いていた。

 この光の設計に欠かせなかったのが「コンピュテーショナルデザイン」だ。ビルの設計と建築を手がけたゼネコン大手の清水建設によると、優しい光の秘密は、独特な天窓の形状にある。

 直射光を採り入れると、ビル内の温度が上がるため冷房を使う頻度が増し、環境によくない。そこで熱負荷が大きい直射光をカットして、間接光をできるだけ多く採り入れる天窓の形状をコンピュテーショナルデザインで追求した。

 シミュレーションによって導き出したのは、のこぎり屋根型の4枚の天窓。開口部の高さや、屋根の格好など40万通りの中から理想的な光を取り込む形状を選びだした。壁面の鋼製パネルの形や角度も工夫し、地上階の年間平均照度を約2倍に向上できた。

 清水建設は2017年にコンピュテーショナルデザインの部署をつくり、今年3月末までに専門技術をもつ設計者300人超を育成してきた。

 豊洲のビルの設計に携わったプロジェクト設計部の今井宏グループ長は「効率が大幅に上がり、発注者の要望に沿った、まさに最適な提案が設計段階でできるようになる」と話す。

 コンピュテーショナルデザイ…

この記事は有料会員記事です。残り671文字有料会員になると続きをお読みいただけます。