書き込まれた野球ノート 女子部員が観察眼生かして指導

鹿野幹男
[PR]

(14日 高校野球栃木大会 佐野3-8那須拓陽)

 最後の打者が三振に倒れ、佐野の初戦敗退が決まった。部員の飯田ひかりさん(3年)はベンチ裏から仲間の姿を見守った。

 野球一家で育った。父と姉は野球、母はソフトボール選手だった。幼稚園児のころから父とキャッチボールを始め、小学校は学童チーム、中学は野球部に入った。

 日本高野連の規定で、女子部員が公式戦に出場できないことは知っていたが、それでも入部した。男子部員と体力差を感じることが多くなり、帰宅後も河川敷ダッシュや筋力トレーニングに打ち込んだ。

 公式戦以外の大会や練習試合に出場し、死球を受けても、ひるまずにプレーをしてきた。負けず嫌いで野球熱は群を抜いていた。武田直樹監督は、細かい文字がびっしり書き込まれた飯田さんの野球ノートを見て驚いた。選手を徹底的に観察し、一人一人の課題が記されていた。

 それ以後、武田監督は練習後のミーティングで、欠かさず飯田さんにその日の練習について講評してもらうようになった。最初は遠慮していたが、監督から「遠慮は無用」と発破をかけられているうちに、仲間の課題を指摘し、後輩の男子部員に指導できるようになった。

 迷い苦しみながら、飯田さんは自分の役割を少しずつ見いだしていった。卒業後は大学に進学し、助産師をめざすという。野球で培った観察眼や気遣いを生かして、妊産婦に寄り添える助産師になるのが夢だ。(鹿野幹男)