ビリヤニしかできない僕に託された1359万円 再起へ

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小瀬康太郎
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 僕はビリヤニしかできない、どうしようもない人間です――。

 大澤孝将さん(31)は、5月に始めた自身のクラウドファンディング(CF)のページにそうつづった。

 ビリヤニは南アジア地域で食される香り豊かな炊き込みごはん。肉やタマネギ、数種類のスパイスなどを使い、大きな鍋で炊きあげる。

 大澤さんはこの奥深い料理の魅力に取りつかれ、10年以上作り続けている。

 気づけば、仕事も家も人間関係も、ビリヤニを中心に回っていた。大勢が集まってワイワイ食べられるのが、ビリヤニの魅力。試行錯誤し、振る舞うのが生きがいだった。

 それを変えたのがコロナ禍。人が集まることができなくなり、作るのをやめた。生きる希望を失うほど、落ち込んだ。

 だがあることがきっかけで、再び作ることを決める。

 「もっと多くの人に自分の最高のビリヤニを食べてほしい。お店を開きたい」

 ただならぬ熱意をつづったところ、963人から1359万円ほどが集まった。かつてビリヤニを食べた人、そしてその評判を聞きつけた人。いろんな人の思いを受け取った。

 今夏、都内にビリヤニだけを作る店を開こうと思っている。

 かつては、「平凡」な人生に憧れていた。でもどうやら、自分には自分の生き方があるらしい。

 これはビリヤニで絶望し、ビリヤニに救われたある男性の物語だ。

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 長野県で過ごした少年時代は、「問題児だった」と振り返る。

 遅刻や宿題忘れは当たり前…

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