寄生虫ならぬ寄生貝 シャコにくっつく不思議な生き方

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矢田文
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 すしダネとしておなじみのシャコの仲間に寄生する「寄生貝」がいる。京都大学などの研究チームが、この不思議な生物の謎を突き止めようとしている。最近の研究で、寄生という生き方に至るまでの道筋が見えてきた。

 チームが研究するのは、巻き貝のイシカワシタダミだ。大きさは1~6ミリで房総半島以南の海に生息する。幼生のときはプランクトンとして浮遊し、出合ったシャコのおなかの表面に寄生する。宿主となるのはフトユビシャコという種で、一般的な食用のシャコとは異なる。

 シャコ1匹に対して雄雌がペアで寄生する。吸盤のような特殊な構造を持ち、ぴったりくっつくという。シャコの組織や体液を吸って食べるため、宿主となったシャコは栄養を奪われ、成長が妨げられたり、繁殖できなくなったりする。

 寄生する巻き貝はほかにもいるが、ナマコやヒトデなど動きの遅い生き物に付く種がほとんどだ。動きが速く獰猛(どうもう)なシャコに寄生するというのはかなり特異的だった。そこで、チームはこの奇妙な貝に注目した。

 解析の結果、イシカワシタダミは、クビキレガイ上科というグループに属していることがわかった。同じグループには、寄生とは違い、相手に害を与えずに住み着く「片利共生」をする仲間がいたが、寄生をする種はイシカワシタダミだけだった。

 そこで、さらに同じグループの中で、イシカワシタダミ、片利共生を行う種、寄生も共生もせずに単独で生きる「自由生活性」をとる種がどういう進化関係にあるかを、複数の種の遺伝子を比較して調べた。

 すると、自由生活性→片利共生→寄生へと段階的に進化していることがわかった。イシカワシタダミは、シャコに片利共生するシャコアナモリという種と最も近い関係にあることもわかり、寄生者へと進化するために、片利共生が重要なステップだと考えられるという。

 寄生生物は数多く存在するが…

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