他人巻き込む「プロデュース論」(笑ってる場合かヒゲ 水曜どうでしょう的思考)
藤村忠寿(HTB「水曜どうでしょう」チーフディレクター)
年に1回、神戸にある流通科学大学で特別講師をやっています。内容は「プロデュース論」。英語の「プロデュース」とは単に「生産する」という意味ですが、日本では「映像や音楽、イベントなどを企画し予算を立てて実行する」といった感じの、ちょっとカッコいい意味で使われています。映画やテレビの「プロデューサー」から来る印象なんでしょうけど、私は別に誰だって「自分で何かを始めよう」と思い立てば、それがもう「プロデュース」だと捉えています。
たとえばアナタが「家庭菜園でもやってみようか」と思い立ったとします。「好きなトマトにしよう」と決めて庭に出る。ふと見れば荒れた地面が目に入る。家の中にいるダンナさんに「ちょっと土を起こすの手伝ってくれる?」と声をかける。「やれやれ」と、めんどくさそうにダンナさんが出てくる。すかさず「ありがとう!おかげでおいしいトマトができるわ」みたいな浮いた言葉をかけて、さらに「これが出来たら自家製トマトパスタを一緒に食べましょうね」なんつって将来展望まで語ってダンナさんに追い打ちをかける。ここまでやればダンナも「わかったわかった、ホラそのくわよこせ」なんつって力強く地面を掘り返すわけです。
これがすなわち「プロデュース」です。自分の思いつきを実現するために、自分にはできない力仕事をダンナさんにやってもらう。つまり僕が思う「プロデュース論」とは「自分で何かを始めようとするときに、いかにして他人を巻き込むか」という方法論になるわけです。
授業ではまずこんな試みから…
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