手術12回で救った主治医 京アニ事件、被告が流した涙

有料会員記事

華野優気
[PR]

 京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件から18日で2年がたつ。当時、全身に大やけどを負った青葉真司被告(43)=殺人罪などで起訴=の治療にあたった元主治医が朝日新聞の取材に応じた。医師団の奮闘で被告は一命をとりとめたが、事件では36人もの命が奪われた。「裁判で真実を語ってほしい」。元主治医は願いを込める。

 「九死に一生を得た彼は今、命の重さを受け止めてくれているんですかね」

 鳥取県米子市の鳥取大医学部付属病院救命救急センター。上田敬博(たかひろ)教授(49)は記者を前につぶやいた。

写真・図版
「(被告に)真実を聞かせてほしい」と語る鳥取大医学部付属病院救命救急センターの上田敬博教授。撮影時のみマスクを外してもらった=2021年6月28日午後2時24分、鳥取県米子市西町、華野優気撮影

 大阪府大阪狭山市の近畿大病院に勤めていた2年前、青葉被告の治療チームの中心となり、約4カ月にわたって取り組んだ。

 事件から2年たつのに、初公判が開かれる見通しさえ立たない。「まだ何も真相がわからないまま。元主治医、一市民として、このまま事件が風化してはいけないと思う」と上田さん。重苦しい体験を振り返る取材にあえて応じた。

「もう助からないかも」というほどひどいやけどをしていた被告。しかし、上田さんはどこからか聞こえる「声」に押され、12回もの手術に取り組みました。

 被告と対面したのは事件2日後の2019年7月20日。熱傷の治療態勢が整った近畿大病院に、京都の病院からドクターヘリで運ばれてきた。意識を失いベッドに横たわる姿を前に、熱傷専門医として豊富な経験をもつ上田さんも「もう助からないだろう」と思ったという。

 治療に取り組んだ日々は今も…

この記事は有料会員記事です。残り989文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら