パワハラ退職、教員へ転職 氷河期世代の免許取得者支援

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伊藤和行
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 教員採用の競争率が高かった就職氷河期世代で、再び教員をめざす人が出てきている。文部科学省は、当時、教員免許を取っても採用されなかった人が100万人以上いると推定しており、転職支援を始めている。実際に教員になった女性は、社会経験を生かした指導にとりくんでいる。

 5日、東京都の公立中学校。社会科教員の諸戸彩乃さん(40)は地理の授業で、「北方領土はどこの領土でしょう」と問いかけた。「日本!」「ロシア!」と生徒から声が上がる。

 日本固有の領土をロシアが「不法占拠」しているというのが日本政府の立場だ。諸戸さんは「複雑な問題もあります。考えてみましょう」と、映像や資料を使って説明した。

写真・図版
地理を教える社会科教諭の諸戸彩乃さん=2021年7月5日午前11時57分、東京都内、伊藤和行撮影

 茨城県の私立大4年だった2002年度は、就職氷河期のまっただ中だった。小学生の頃から憧れだった教員になろうと教員免許は取ったが、教育実習で子どもの顔色ばかり気にしてしまい、「まだ教師になれない」と教員採用試験は受けず、民間企業を10社ほど受けた。

 だが内定は出なかった。当時の新卒者の就職率(03年4月1日時点)は90%台前半と深刻な就職難で、「大学名で試験を受けられない会社もあった」。卒業直前に大手広告会社のアルバイトが決まり、その後、契約社員になったが、男性上司のパワハラを受けて心の病を患い、27歳の時に退社した。復帰後は、派遣社員をしたが「人生はうまくいかず、生きた心地がしなかった」。

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