無傷の12連勝、綱とりを狙う照ノ富士には二つの追い風

竹園隆浩
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 大相撲名古屋場所12日目の15日、綱とりの照ノ富士は進退をかける横綱白鵬とともに全勝を守った。

 照ノ富士の気持ちの充実度が、土俵から噴き出してくる快勝だった。

 力強かった。相手は前さばきがうまく、懐に入られると過去に苦戦してきた同期入門の明生。狙った左前まわしは取れなかったが、右を差されると、すぐに抱えて捕まえにいった。

 嫌がられて、いったんは離れたが、重心を落として前傾姿勢で攻め立てる。今度は左を差されたところを抱える。右も抱え、相手を正面に置いて逃げられないようにしてねじり倒した。

 「落ち着いて取れた。一生懸命やってきたことを、信じてやるだけ」。初日からの12連勝は自身初だが、「一日一番の思い。特別な思いはない」と依然、心のぶれはない様子だ。

 綱とりへ向け、12個目の白星は3場所連続。安定感は抜群と言って良い。加えて二つの追い風がある。一つは進退をかけている白鵬の存在。一番の注目が横綱にいく上に2人で並走することで、照ノ富士の気持ちは舞い上がらない。

 二つ目はコロナ禍で取材を受ける場面が少ないこと。過去の横綱挑戦者は場所中は朝稽古後、支度部屋でも毎日、報道陣に囲まれていた。だが、今は直接顔を合わせない取組後のオンライン会見だけだ。重圧を感じる機会が少なく、自分のペースを守りやすい。

 「なった人にしか分からない景色を経験してみたい」という悲願達成へ、残り3日。まだ、視界を遮る者はいない。(竹園隆浩)