芥川賞作家が会見で語った「復興五輪」の言い訳がましさ

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高橋昌宏
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 第165回芥川賞に決まった仙台市出身の石沢麻依さん(41)の「貝に続く場所にて」は、震災の記憶がモチーフとなっている。留学先のドイツからオンラインで記者会見に臨んだ石沢さんは「復興五輪」という言葉への違和感を語った。

 「貝に続く場所にて」は、コロナ禍のドイツで暮らす「私」のもとに、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。

 会見で震災を題材とした動機を問われた石沢さんは「五輪で時々思い出したように出てくる復興という言葉に、言い訳がましく引き出されるメッセージだなと、ニュースを見る度に感じていました」と語った。さらに沿岸部や原発の避難区域と他の地域が引き裂かれている印象があるとし、こう続けた。

 「無理やり復興という仮面を押しつける行為によって、きれいに化粧を施された顔を見て私たちは満足しようとしているのではないか、過去を正しく捉えられないのではないか」

 今年5月、東京五輪の意義を問われた丸川珠代五輪相は「人々の間に絆を取り戻す」と述べた。石沢さんは、五輪や震災で「絆」というメッセージが用いられることに「無理やりエモーショナルなもので一丸となり、終わったら解散。何事もなかったように置いてけぼりにされていくことが恐ろしいと思っています」と話した。

大学では美術史を研究、恩師が語る思い出

 石沢さんは東北大文学部に進学後、東北大大学院文学研究科に進み、西洋美術史の研究を始めた。研究テーマは宗教絵画で、以前にもドイツに留学していた経験があるという。

 指導に当たった尾崎彰宏・総…

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