全身そるのに30分 水泳選手が勝利へ、こだわり儀式

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照屋健、吉永岳央、波戸健一、木村健一
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 重圧がかかる試合を前に、自分で決めた約束事をこなすことで心の安定を保ったり、集中力を高めたりする「ルーティン」。東京五輪に出場する選手たちは、さまざまなやり方で大一番に臨もうとしている。(照屋健、吉永岳央、波戸健一、木村健一

競泳・井狩裕貴 数え切れないルーティンを持つ男

 大事なレース前日の夜。競泳の男子400メートル個人メドレー代表の井狩裕貴(20)=イトマン近大=はバリカンとカミソリを手にする。それは、「数え切れない」という彼のルーティンの始まりにすぎない。

 風呂場でお気に入りの音楽をかけながら、全身の毛をそる。頭はバリカンで、それ以外はカミソリで。30~45分ほどかけて丁寧に仕上げる。少しでも水の抵抗を減らしてスピードを上げるためだ。背中はほかの人に手伝ってもらうこともある。

 試合前日の“儀式”はこれだけで終わらない。寝る前にジャージーをたたんで部屋をきれいにする。けん玉をしながら体の張りを確かめる。「気がつけば、どんどんルーティンが増えていった」

 ルーティンにこだわり始めたのは中学のころだ。無意識に、「やらないと気持ち悪い」とやることが増えた。心拍数を上げ、スイッチをいれるためにレース前は小走りで入場するように。スタート台の上では、両手を広げる。水に入る直前までの流れも決めている。

 自らの性格は「思い詰めると、結構考え込んでしまうタイプ」。だからこそルーティンをこなすことで「自分のやることに集中し、自分の世界に入っていく効果がある」と感じている。

 アテネ五輪競泳で銀と銅の二つのメダルを獲得した近大の山本貴司監督によると、高校時代は英語の成績もトップクラス。「賢いから、自分のことを計画だてて、ちゃんとものごとを進めていく子」と評する。

 座右の銘は「夢を見ることができれば、夢を実現することができる」。幼いころからの夢だった五輪出場をその手でかなえた。次なる夢は、五輪でのメダル獲得。数々のルーティンを携えて挑む。(照屋健)

後半は、クライミング・野口啓代選手と柔道・高藤直寿選手の「こだわり」とそのわけを紹介します。また、専門家にルーティンの効果を聞きました。

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