政権が隠蔽した「無差別鎮圧」 知られざる台湾現代史

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佐藤雄二
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 日本の植民地統治と中国国民党の独裁統治。それぞれ半世紀ちかくに及んだ外来者による支配を乗りこえてきた台湾の現代史をめぐる本が名古屋の風媒社から相次いで出版された。

 終戦直後に国民党が起こした住民弾圧事件を究明する『二二八事件の真相と移行期正義』と、1980年代に始まった改革の潮流を考える『民主化に挑んだ台湾』の2冊。勢いづく中国に脅威を感じながら台湾が台湾であり続けることを願う「台湾の声」が聞こえてくる論考集だ。

 「228事件」は、日本敗戦後に台湾を接収した中国国民党が1947年に起こした武力弾圧事件。2月末、台北で闇たばこ摘発にからんで起きた傷害事件をきっかけに、国民党の失政に対する抗議騒動が全土に広がった。国民党は台湾駐留軍と大陸からの派遣軍を投入し、2カ月半にわたって鎮圧を強行した。

 死者数は1万8千人~2万8千人とされているが確かな人数はわかっていない。軍事展開中の処刑や拷問の実態、事件収束後も続いた人権侵害の実態など、いまも不明な点が多い。「228事件」は、その後1987年まで38年続いた戒厳令時代の「白色テロ」と並んで、真相究明が問われている台湾内政の大きな課題となっている。

 『二二八事件の真相と移行期正義』は、行政院(内閣)が設立した財団法人二二八事件紀年基金会がまとめた報告書だ。

 「移行期正義」とは、国のありようが大きく変わる過程で問われる禍根の清算のことをいう。ここでは、事件の真相究明と受難者遺族への賠償をいい、めざすのは「過去の克服と和解」だ。

 報告集は「事件の原因分析」「情報機関の役割」「報道業界の受難」など論文8編を収録している。

 「軍隊の展開と鎮圧」と題し…

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