花咲かせ、山から消えたササ 祇園祭の「ちまき」が危機

有料会員記事

向井光真、北村有樹子
[PR]

 京都人の暮らしに欠かせない、と言っても過言でない「ちまき」に近年、異変が起きている。材料のササが、なかなか採れなくなっているのだ。(向井光真、北村有樹子)

食べないちまき、京都の常識

 ちまきと言えば、コメなどをササの葉などで包んで蒸したものが一般的だ。5月の端午の節句に食べる習わしがある。ただ、京都では、7月の祇園祭で出回る「厄よけちまき」の方が有名だ。

 見た目は食べるちまきと似ているが、厄よけちまきに入っているのはわら。祭りで京都市内を練り歩く30以上の山鉾(やまほこ)の名前が入ったものが販売され、毎年人気がある。山鉾巡行が中止になった今年も、20以上の山鉾の保存会がインターネットや対面で販売している。軒先にぶら下げている商店や民家も多い。

 どちらのちまきも、使われるのはチマキザサ。クマザサの一種で、葉の裏に毛がなくすべすべしている。全国各地にあるが、京都では、京都市北部の鞍馬山の北にある花脊(はなせ)地区が一大産地として知られてきた。

 花脊のものは、特に香りが良いのが特徴とされ、古くから人々に高く評価されてきた。17世紀の京都府南部の地誌をまとめた「雍州(ようしゅう)府志」は、鞍馬山周辺のササの葉を取り上げ「他産不堪用(他産地のものは使えない)」と記している。

 地元・別所自治振興会の藤井優三会長(72)は、「子どものころから、母親がチマキザサを山で採って自宅で選別するのを見てきた。自分もそれを手伝った思い出がある」と話す。

 異変は2004年に始まった。07年にかけて花脊一帯のチマキザサが花開き、「白い花が咲いて珍しいと思っていた」と藤井さん。だが、その後に枯れてしまったのだ。

 京都大大学院の貫名涼(ぬき…

この記事は有料会員記事です。残り1091文字有料会員になると続きをお読みいただけます。