台湾から来た4番打者 けが治療で1年帰国、強めた絆

吉田啓
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(15日、高校野球福岡大会 福岡第一2-6九産大九州)

 大きく素振りをして審判に深々とお辞儀すると、福岡第一の4番打者・朱祐辰(しゅうゆうしん)君(3年)が九回表の最後の打席に入った。「単打でもいい。塁に出てみんなにつなげよう」

 5球目、狙っていた直球が来た。内角高めに少し詰まったがバットを振り抜いた分、打球が伸びた。左中間を破る二塁打に。その後に三盗を決めると暴投で生還し、ベンチの仲間たちとタッチをかわした。

 台湾の中学3年のとき、国際交流試合に訪れた宮崎県で福岡第一への進学を誘われた。投手として期待されて入学したが、けがの治療などで昨年1月に台湾に戻った。新型コロナの影響もあって滞在は1年近くに及んだ。遠隔授業を受け、1人で筋力トレーニングに励んだ。支えになったのはLINEなどでのチームメートとのやりとりだった。

 今春、野手に転向すると本塁打を連発。頼れる4番打者になった。一緒に野球ができた時間は短かったが「仲間たちと最後の夏を迎えられてうれしかった」。試合後、泥だらけのユニホームに笑顔を浮かべた。(吉田啓)