皇室ゆかり「唐獅子図屛風」国宝に 若冲作品も初めて

神宮桃子
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 安土桃山時代に活躍した絵師・狩野永徳の代表作「唐獅子図屛風(びょうぶ)」や鎌倉時代の「蒙古襲来絵詞(えことば)」が国宝になる見通しになった。文化審議会が16日、これら5件の絵画や書を重要文化財とした上で国宝に指定するよう文部科学相に答申した。いずれも皇室に代々受け継がれてきたもので、現在は皇居内にある宮内庁三の丸尚蔵館の収蔵品。宮内庁が管理する美術工芸品が文化財保護法の国宝や重文に指定されるのは初めて。

 唐獅子図屛風は豪放な筆致で悠然と歩く唐獅子を描き、日本の絵画史上で突出した存在感を示すと評価される。蒙古襲来絵詞は2度の元寇(げんこう)に参戦した御家人・竹崎季長(たけざきすえなが)を中心に展開する絵巻物で、モンゴル帝国の拡大によって世界各地で巻き起こった事件の一つをほぼ同時代に記録した視覚資料として貴重とされる。

 ほかに国宝に指定されるのは江戸時代の絵師・伊藤若冲(じゃくちゅう)の代表作「動植綵絵(さいえ)」▽鎌倉時代絵巻物「春日権現験記絵(かすがごんげんげんきえ)」▽平安時代の小野(おのの)道風の書「屛風土代」。伊藤若冲の作品が国宝になるのは初めて。

 どれも教科書などに載る一級品だが、宮内庁が作品を管理・保護していることから、重要な文化財を重点的に保護・活用する文化財保護法上の国宝や重文に指定されていなかった。重文のうち特に価値の高いものが国宝で、今回の5件は重文になると同時に国宝に指定される。

 三の丸尚蔵館は、昭和天皇の死去に伴い皇室から国に寄贈された美術工芸品を収蔵・展示するため、1993年に開館。収蔵品は貴重な作品が多いのに価値が伝わりにくいとして、宮内庁の有識者懇談会が2018年、国宝や重文の指定も含め、価値をわかりやすく示すよう提言していた。

 三の丸尚蔵館の元主任研究官で日本大学教授の大熊敏之さんは「収蔵品が国宝になることで、日本の一般的な名品の流れに位置づけられる。純粋に良いものとしてフラットに扱えるようになり、パブリックなものになる」と評価する。(神宮桃子)