「黒い雨」訴訟で広島市長ら 国に上告しない判断求める

石川友恵
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 広島市松井一実市長と広島県の田辺昌彦副知事が16日、田村憲久厚生労働相と厚労省で面会し、広島への原爆投下後に降った「黒い雨」による被爆者の認定を巡って県・市が敗訴する形となった今月14日の広島高裁の判決について、上告しないことを国が認めるよう要請した。

 県と市が田村氏に出した要請書は「『黒い雨』体験者の抱えてきた苦悩を重視し、人道的な視点にたって救済方法を考えていく政治判断が優先されるタイミングにきている」などと指摘し、「国は判決を重く受け止め、県と市が上告しないことを認めるようお願いする」とした。

 高裁判決は疾病にかかわらず、幅広く被爆者と認める判断を示した。一方、国は健康被害が出るほど放射能の影響を受けたことを住民が「科学的合理性」をもって立証しなければ被爆者と認められない、との立場をとっている。県・市は一審の広島地裁判決で敗訴した後、国の方針に沿って控訴していた。

 要請後、松井市長は「私からすればすばらしい判決だ。国は上告をやめ、救済のための方法を考えてほしい。この一線は譲れないという気持ちだ」と話した。

 田村厚労相はこの日の閣議後会見で「裁判の内容を精査して対応を考える」と述べるにとどめた。また、黒い雨の援護対象区域の拡大を視野に設置した厚労省の有識者検討会について「なるべく早く方向性を出したい」とした。(石川友恵)