IOCコーツ副会長が長崎訪問 「平和の使命を再確認」

米田悠一郎
[PR]

 16日に長崎市を訪れた国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長は、長崎原爆資料館を見学するなどし、「平和は五輪の中心理念で、平和の街としての長崎に敬意を払うためにここにいる」とスピーチした。

 コーツ氏は午後2時過ぎに原爆資料館に到着。厳重な警備のもと、原爆で焼け野原になった街の写真や焼死した少年が地面に横たわる写真などを見て回った。その後、隣接する国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で犠牲者に献花した。

 5月に聖火リレーを走った被爆者長崎県雲仙市の宮田隆さん(81)は「平和のメッセージを世界に発信する意義があった」と評価。五輪開催中や閉会後も、長崎で見聞きしたことを発信し続けてほしいと希望した。一方で、コーツ氏が長崎の被爆者と直接対話する機会がなかったことを惜しむ。「核兵器の悲惨さをより感じてもらうため、被爆の跡が残る場所を案内したかった」と述べた。

 コーツ氏の長崎訪問に否定的な声もあった。被爆者団体の一つ、長崎原爆被災者協議会(長崎市)の田中重光会長(80)は「人の命を大事にするなら、コロナの感染が収まってから来てほしかった」と述べた。

 コーツ氏はスピーチで、原爆資料館を見学したことには触れなかった。田中会長は「原爆や被爆者という言葉、資料館で見たことの感想もない。どこでも発信できる内容で、何のために長崎に来たのか」と批判した。(米田悠一郎)