表現の不自由展かんさい、施設利用認める司法判断が確定

阿部峻介
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 安全に配慮しているのに、実力で阻もうとする人がいるからといって公共施設の利用を拒めば憲法の「表現の自由」を侵害する――。こう言及して「表現の不自由展かんさい」の施設利用を認めた司法判断が確定した。最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)が16日、利用を認めなかった大阪府側の特別抗告を退ける決定を出した。大阪地裁大阪高裁の判断に憲法違反はないとだけ判断した。

不自由展、18日まで大阪市で開催

 「表現の不自由展かんさい」は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の作品を集めたもの。16日から府の施設「エル・おおさか」(大阪市中央区)で開催されている。18日までの予定。

 施設の指定管理者は3月に実行委員会に対し利用を認めたが、展示内容に不満を持つ人たちの抗議電話や街宣活動が相次ぎ、6月25日に施設利用の許可を撤回。実行委メンバーが提訴し、一時的に撤回の効力を失わせる執行停止も申し立てた。

裁判所「実力阻止のおそれで利用拒否は憲法に反する」

 地裁はこの執行停止について、最高裁判例を引きながら「表現や集会の自由を制限できるのは、公共の安全に対する『明白かつ現在の危険』があると客観的に予測できる場合」だと指摘。実行委は警察に相談しながら適切な警備態勢をとっていて、それでもなお「混乱を防げない」という特別な事情はないと判断し、施設の利用を認めた。

 高裁もこれを支持し、「主催者が平穏に行おうとしているのに、思想・信条に反対するグループが実力で阻止しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に施設利用を拒むのは憲法の趣旨に反する」と言及していた。

 「表現の不自由展」は、名古屋では爆竹のようなものが入った郵便物が破裂して中止となり、東京では抗議活動を受けて延期されている。(阿部峻介)