コーツIOC副会長が長崎訪問 地元には歓迎と批判

核といのちを考える

米田悠一郎
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 東京五輪の開会式まであと1週間となった16日、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長が被爆地・長崎を訪れた。長崎原爆資料館などを見学し、田上富久市長や中村法道知事と懇談したが、被爆者との面会はなかった。新型コロナウイルスの感染が再び広がる中での東京五輪開催と長崎訪問に、厳しい視線を向ける市民もいた。

 コーツ氏は6月15日に豪州から来日。2009年からIOCで理事やロンドン、リオデジャネイロ五輪の委員などを歴任した。

 16日は、国連で採択された「五輪休戦決議」の期間が始まる日にあたる。コーツ氏は午後2時過ぎ、厳重な警備が敷かれた資料館の正面入り口に到着。田上市長と中村知事に笑顔で迎えられた。市によると、IOC関係者が資料館を訪れたのは初めてとみられる。

 資料館の近くには、コーツ氏をにらんで立つ市内の60代男性がいた。新型コロナウイルスが広がる中での訪問に抗議の思いを込めたという。親が被爆者核兵器に反対だが、「今は平和より人の命を守るのが大事。訪問は平和を学ぶというポーズだ」と批判した。

 コーツ氏は約20分間、資料館の展示室を見学。案内した篠崎桂子館長によると、コーツ氏は真剣な表情で被爆直後の街の写真や焼死した少年が横たわる「黒こげの少年」の写真を見ていたという。

 その後、田上市長や中村知事と、隣接する国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で約20分間懇談した。終了後に報道陣の取材に応じた田上市長によると、コーツ氏は資料館を訪れた感想を「多くを知ることができ、平和のために力を合わせなければならないと感じた」と述べたという。同館には折り鶴1羽を贈った。

 田上市長は訪問を「(原爆投下で何が起きたかを)見て知って感じてもらえた」と評価。今後も世界に向けて発信していくことを期待した。

 コーツ氏とともに、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長や東京五輪パラリンピック大会組織委員会の遠藤利明副会長も訪問した。(米田悠一郎)

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