気まぐれな波と風、難攻不落の江の島 セーリングは位置取りが大事

セーリング

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 セーリング競技は、レース開始前、スタートのポジション争いから始まる。波の影響がある海上では、艇を一つ所にとどまらせることが難しいという特性があるからだ。そのため、陸上競技などのように決まった並び順は指定されず、ある程度の幅を持ったスタートラインだけが示される。

 同じライン上でも、場所によって風の吹き方が違ったり、折り返しポイントまでの距離が変わったりする。少し後方から助走をつけてスタートダッシュを狙う艇があれば、それを妨げるようにあえてライバルの横に寄せる艇もある。

 もちろん、どの海域でどんな風が吹くのかを予測するという点では、さらに前からレースは始まっている。レース前に海の近くを歩いて風の吹き具合を見たり、遠くの雲の状態や海上の波の大きさを確認したりすることが、レース時の自然環境の判断材料になる。

 ただ、なかなか予測通りに運ばないのが自然というもの。加えて、東京五輪の舞台となる神奈川県藤沢市の「江の島ヨットハーバー」は、「難攻不落の海」とも言われる。起伏に富んだ湘南の地形に加え、高さや向きの異なる建物が数多くあり、風向きが刻々と複雑に変化するからだ。

 台風シーズンには、大きなうねりのある波が南からやってくる場合もあり、地元の漁師でも海上の状態は海に出てみないと分からないという。自然と人間、双方との駆け引きが絶え間なく続く緊張感が、セーリングの魅力となっている。