近畿大元教授を再逮捕 大阪府警から5千万円詐取容疑

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 近畿大医学部法医学教室の元主任教授、巽(たつみ)信二容疑者(66)=詐欺罪などで起訴=らが大学の経費をだまし取ったとされる事件で、国費から支出される司法解剖の検査料約5千万円を詐取したとして、大阪府警は16日、巽容疑者を詐欺容疑で再逮捕し、発表した。認否は明らかにしていない。

 捜査2課によると、巽容疑者は2015年4月~21年3月、司法解剖時の薬物や細菌の検査などをしていないのにしたように装い、府警から計5180万円をだまし取った疑いがある。同じ期間に支払いを受けた873件(計約2億5千万円)のうち、795件で水増しや架空請求があったとみられるという。

 犯罪の疑いがある遺体を調べる司法解剖では、委託された解剖医が必要と判断すれば、追加で検査をする。巽容疑者は、検査する検体数を水増ししたり、架空の薬物検査を実施したりしたことにし、検査料を府警に請求していたという。検査料は大学の口座に振り込まれ、その一部が巽容疑者が所属する法医学教室の医療用品購入などの費用に充てられていた。

 検査結果は司法解剖の鑑定書に記され、裁判で証拠にもなるが、府警刑事総務課は、虚偽の検査が記された鑑定書は見つかっておらず、「捜査や裁判への影響はない」としている。府警が国費をだまし取られたことについて、同課の熱田好司課長は「こうした事案が発生したことは遺憾。再発防止に努めたい」とのコメントを発表した。近大は16日、詐取したとされる検査料を府警に返還するとホームページで発表した。

 大阪地検は16日、私物の購入を経費でまかない、近大から約2170万円をだまし取ったとして、巽容疑者と医療機器販売会社の元社員、藤戸栄司容疑者(53)を詐欺罪で起訴し、同容疑で書類送検された同社の久村賢行(まさゆき)社長(67)を同罪で在宅起訴した。

 巽容疑者は府警の依頼で約40年間で約4千件の司法解剖したことが評価され、今年2月に警察庁長官から民間人表彰では最高位の「警察協力章」を受けた。府警刑事総務課によると、7月2日に取り消された。

 大阪府警が長年司法解剖を委託してきた近畿大の元主任教授が、国費である検査料をだまし取っていた疑いが浮上した。

 府警刑事部を総括する刑事総務課の熱田(あつた)好司(たかし)課長は16日、報道陣の取材に応じ、「不正請求に気付くのは難しかった」と釈明した。不正を見抜けなかった理由を問われ、「これから見ていかなければいけない」と述べるにとどめた。

 同課によると、府警は、巽容疑者が水増しや架空の検査内容を記入したとされる報告書と、裁判で証拠として提出される司法解剖の鑑定書を突き合わせていなかった。巽容疑者は鑑定書に虚偽の検査について記載してなかったといい、確認していれば気づけた可能性があった。

 検査を大学外部に委託する場合は府警への届け出が義務だ。ただこの件では巽容疑者側から届け出はなかったという。

 熱田課長は、原因究明は「これから」と繰り返した。再発防止策を問われると「(具体的な策は)今のところ何も言えることはない」と述べた。