後手に回った五輪 組織委の現場「私たちは振り子の球」

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前田大輔、野村周平、斉藤佑介
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 東京オリンピック(五輪)の開幕まで10日となった7月13日午前0時。大会組織委員会の事務局が入る東京都中央区の晴海トリトンスクエアの通用口から、終電の駅へと駆けていく職員たちの姿があった。間に合わない職員は、ビルの横に連なるタクシーの列に吸い込まれていく。最近は仕事の処理が追いつかず、オフィスで夜を明かす職員も増えているという。

 「大会本番までにまだまだやることが多くて、本当に開幕が来るのか、信じられない」。ある職員は、苦笑いを浮かべて言った。

 13時間後の午後1時。「過去に、ここまで準備の整った大会はなかった」。来日後の隔離期間を終えた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が組織委を訪れ、美辞麗句を橋本聖子会長らに送った。

 複数の関係者はこう語る。「IOCのいつもの社交辞令だ。公の場では笑顔でも、裏では冷徹な顔を見せる」

 IOCは裏では、組織委にいらだちを強めている。6月末には、東京大会の準備状況を確認するIOCの責任者、ジョン・コーツ副会長や、クリストフ・デュビ五輪統括部長らが急きょ、実務レベルの会議を開くことを組織委に要請した。「本番で会場で働く医療や輸送などにあたる職員の現地入りが遅れている」と改善を求めたという。

 組織委の準備が遅れているこ…

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