「努力がおじゃん」 100万回接種、振り回された医療

有料会員記事新型コロナウイルス

浅沼愛、寺尾佳恵、本多由佳
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 政府からの新型コロナウイルスワクチンの供給不足で、接種の最前線を担う医療現場が混乱している。予約キャンセルの連絡に追われ、政府の「1日100万回接種」のかけ声で拡充した接種態勢の見直しも迫られる。「とにかくワクチンを」。定まらない政府方針に現場のいら立ちも募る。

 「もっと早く接種してほしい」。そんなかかりつけの患者たちの声に応えようと、個別接種を行う大阪市此花区の伝法高見診療所は、日曜日や平日午後に予約枠を新設し、接種回数を増やそうとしていた。

 その矢先の2日、市は12日以降の1回目接種を一時停止すると発表。診療所は、既に予約が入っていた約50人への断りの電話連絡に追われた。川崎美栄子所長(72)によると、中には70代後半の高齢者もおり、電話口でがっかりした様子だったという。川崎所長は「開業医たちの接種の迅速化に向けた努力や熱意がおじゃんになってしまう」と話す。

 診療所などでの個別接種と、公共施設などでの集団接種で使うファイザー社製ワクチンの全国向け供給量は、7~8月は2週間あたり1200万回分で、6月の最大1870万回分から大幅に減る。

「本数があれば行き届くわけではない」政府の認識不足、指摘も

 大阪市への供給量は、4~6月は131万回分だったが、7~9月は108万回分、10~11月は31万回分となる。市は、個別接種向け配送量は6月下旬の4~7割程度に抑え、集団接種は取りやめる。

 千葉市も1回目接種の新規予約を一時停止し、再開は26日から。ただ、7月19日~8月1日の供給量は約8万7千回分で、希望量の6割にとどまる。市内の診療所の院長は「新規予約が入れられず、届いているワクチンのロスをなくすための人数調整が難しい」。

 高松市は7~9月の供給量が5~6月の約半分に減るため、診療所などへの配送量の上限を「1カ所あたり1週間で54回分」と設定した。市内のある病院は1日で約36回分を使用しており、影響は大きい。「確実に2回目接種まで終えるには、1回目の予約を絞る必要がある」とする。

 菅義偉首相は5月、「1日100万回接種」を掲げ、加速に向けて号令をかけた。しかし、政府がワクチン供給の全体像や具体的計画を示すことはなく、自治体や医療機関が態勢拡充に動くとワクチン不足に。一転して、「接種スピードの最適化をお願いをしたい」(河野太郎行政改革相)とブレーキをかけた。

 通常診療をしながら個別接種…

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