俵背にまさかの立ち合い 白鵬の「奇策」に会場ざわつく

松本龍三郎
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 大相撲名古屋場所(愛知・ドルフィンズアリーナ)14日目の17日、横綱白鵬が大関正代を退けて無傷の14連勝とした。千秋楽は、同じく全勝の大関照ノ富士と約4年ぶりに激突する。

 白鵬の構えに、会場がざわついた。立ち合い。仕切り線から目いっぱい遠ざかり、両足が俵にかかりそうな位置で腰を落とした。

 そっと立って正代に近づき、左で張って体をぶつけた。おっつけてから強烈な張り手を見舞う。一度はまわしを引きかけたが、再び離れ、最後は右四つで組み止めて浴びせ倒した。

 こんな意表を突く立ち合いは、おそらく白鵬の土俵人生で一度も見せたことがない。本人は取材に応じずに会場を去ったため、真意は分からない。

 土俵下で見届けた藤島審判長(元大関武双山)は「実力者の正代に当たられて両差しになられるのが嫌だったと思う」と白鵬の心中を推し量った。八角理事長(元横綱北勝海)は「奇襲は弱い方がやること。これだけ優勝している横綱がああいうことをしてはいけない」と苦言を呈した。

 進退をかけて乗り込んだ名古屋の夏。必死の形相で初日の一番を制し、「いろんな思いがあるし、しゃべったら今日終わりませんから」と話した。あの日から連勝を14に伸ばし、9年前に当時大関の日馬富士とぶつかって以来となる、全勝同士による楽日相星決戦となった。

 千秋楽の相手は、同じモンゴル出身の照ノ富士。1年前の7月場所で幕内に復帰した照ノ富士に対し、白鵬はそこから6場所連続休場してきた。最後の対戦はもう4年以上前になる。

 令和初の横綱昇進を決定づけた大関を迎え撃つ、平成の大横綱。復活を全勝優勝で飾るうえで、これ以上ない舞台と相手がそろった。(松本龍三郎)

千秋楽の全勝対決

①60年春 若乃花(横綱)―栃錦(横綱)

②63年秋 柏戸(横綱)―大鵬(横綱)

③64年春 大鵬―柏戸

④83年秋 隆の里(横綱)―千代の富士(横綱)

⑤12年名 日馬富士(大関)―白鵬(横綱)

※15日制が定着した1949年夏場所以降。左が優勝者。若乃花は初代