京大発ベンチャー急増 「ビジネスに距離」の伝統に変化

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井東礁 筒井竜平
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 京都大学発のベンチャー企業が増えている。大学が出資する投資会社の後押しを受け、2020年度には4年前の2倍超となる222社となった。研究一筋でビジネスとは距離を置く。そんな伝統的気質が変わってきた背景とは。(井東礁)

 京大iPS細胞研究所の研究者たちが15年8月に設立したベンチャー「サイアス」。さまざまな細胞になれるiPS細胞を使い、新たながん免疫治療の開発をめざしている。だが、設立当初の実働メンバーは2人だけ。慣れない資金集めに苦心したという。医薬研究は実用化に時間がかかり、成功の保証もない。高リスクのため、民間の金融機関から支援を得るのは難しい。

 そこで救世主となったのが、京大がつくったベンチャーキャピタル(VC)の「京都大学イノベーションキャピタル(iCAP)」だった。サイアスの実験結果を精査し、17年に5千万円の投資を決めた。その後も繰り返し増資に応じ、これまでに計約7億円を投資した。経営に詳しい人材も派遣し、長期的な支援を続けている。昨年8月にiCAPから籍を移し、サイアスの代表取締役に就任した五ノ坪良輔・COO(最高執行責任者)兼CFO(最高財務責任者)は「iCAPがなければ、(今の会社は)存在しなかった」と振り返る。

 大学の研究成果を新たな産業につなげることを目的に国は12年度の補正予算で京大、東京大、東北大、大阪大の4大学に計1千億円を出資した。これを原資に各大学が設置したVCの一つがiCAPだ。

投資担当10人中9人が理系

 iCAPは、京大のライフサ…

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