心の病気を抱える私へ、死ぬ前に夫が言った「人殺し」
(悩みのるつぼ)相談者
70代女性です。主人は希少がんで入退院を繰り返し、一昨年に他界しました。
私は20年間、そううつ病を患ったあと、5年ほど前にようやく主治医から薬を飲み続けることを条件に、「もう大丈夫でしょう」と言われました。
主人が亡くなる半年前のことです。「あなたの病気のために大変な思いをした。精神的にも身体的にも大変な思いをした。もう顔も見たくない、話もしたくない」と言われました。そして、「人殺し」とも。
悲しくて悲しくて、がくぜんとしました。でも、そう言われても仕方がないことだとも思いました。主人は出世もあきらめ、やりたいこともできなかったのです。想像を絶するような犠牲を強いてしまったのです。謝っても謝っても許してもらえないと思いました。
いまさら供養になるとも思いませんが、仏壇にお線香をあげ、お墓参りをし、般若心経をあげています。それでも、いまだに遺影を正視することはできません。
誰にも話すことができず、ため息ばかりが出てきます。主人から言われた言葉は寝ても覚めても耳から離れず、心が晴れることはありません。
子供たちにも筆舌に尽くしがたい迷惑をかけたことを、大変申し訳なく思っています。
この先、どういう思いで生きていけばいいでしょうか。
回答者 社会学者・上野千鶴子さん
それはおつらいですね。それでなくても心が折れやすいのに、亡夫からいわれたことばが耳について離れない、そしてそんなことを言われたなんてつらすぎて誰にも告げられない……よくぞ思い切って投稿なさいました。
心の病と診断されてよくも死なずに生きてこられましたね。まずそれだけでも自分をほめてやりましょう。もし万が一あなたが自殺でもしていたら……「人殺し」として自分を責めなければならないのはご家族の方だったでしょう。少なくともあなたが耐えて生きつづけたことで、ご家族をその思いから救いました。
心の病を抱えた家族と共に暮…