吉田輝星にあこがれ入学 金足農エース「遠かったなあ」

井上怜
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(17日、高校野球秋田大会 金足農5-8由利)

 金足農のエース山形琉唯(るい)投手(3年)は、苦手とする立ち上がりに制球が乱れた。二回、甘く入った球を立て続けに打たれ、3失点。早々にマウンドを降りた。「悪いな」。2番手の鈴木太晟(たいせい)投手(3年)にそう声をかけた。

 四回、今度は鈴木投手のピンチに、マウンドに戻ってきた。この回すでに4点を失い、5点差に。「もう1点もやらない」。持ち味の球威が戻り、初球で後続を打ち取った。

 八回には自ら二塁打を放ち、反撃の口火を切った。味方は相手のミスを見逃さず、得点を積み重ねた。九回には2死満塁の好機を作り、最後の最後まで攻め立てた。

 終わってみれば3点差。山形投手は「最初の3点がなければ、勝負は分からなかった」と唇をかんだ。

 2018年夏、エース吉田輝星投手が全国を沸かせた。キレのある速球に魅了された。リードされていても踏ん張り、粘り、声を出すチームの姿にもあこがれ、金足農に進んだ。

 入学後は下半身の強化に取り組み、速球を磨いた。球速は142キロに伸びた。迎えた最後の夏、吉田投手が躍動した甲子園には届かなかった。試合後「遠かったなあ」とつぶやいた。それでも、あこがれだった最後まで諦めないチームを、仲間と作ることができた。そう実感している。(井上怜)