厳しい監督、最後に父親の一面 「お前のせいじゃない」

竹中美貴
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(17日、高校野球千葉大会 木更津総合9-2成田)

 7点を追う七回裏1死三塁。打席に立つ成田・尾島叶大(かなた)選手(3年)に、ベンチから父の声が届いた。「自信もってやれ!」。監督でもあるその声に、満面の笑みで応えた。

 「今日は笑顔で楽しくやろうと決めていた」

 積極的にバットを振ったが三振。次打者が四球で出塁し、チームは2死一、三塁と好機を広げたが、最後の打者も三振に倒れ、コールド負けが決まった。

 治信監督は2010年、成田を20年ぶりの夏の甲子園に導いた。尾島選手が成田への入学を決意したのは4年前。父と、成田の2番打者だった兄一晟(かずまさ)さんがZOZOマリンで、5回戦敗退した日だった。

 試合後の写真撮影で、兄が成田のチーム帽子をかぶせてくれた。「もう兄の高校野球をみられないんだな」とさみしさがこみ上げた。「ここで甲子園を目指して、兄の借りを返したい」と強く感じた。

 成田に入ると、父は厳しくなった。「チームで1番怒られた自信がある」。新チームが始まった昨秋に「お前なんか使えない。やめちまえ」と突き放されたこともあった。治信監督は「息子として怒ったわけではない。レギュラーとして、1番打者として怒ってきた」。野球では、監督と一選手の関係だった。

 今大会、チームは3試合をすべてコールドで勝ち上がってきた。しかし、この日、4年前と同じ、ZOZOマリンでの5回戦で、夏が終わった。

 試合後、「あと1点でも取れれば仲間と野球が続けられたのに」と最後の打席を悔やむ尾島選手に、父は言った。「お前のせいじゃないよ。小さい体で、よく一選手として頑張った」

 尾島選手は「父と、この仲間と、野球ができて幸せでした」。=ZOZO(竹中美貴)