段ボールハウスから見えた五輪のひずみ 消えた264人

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藤野隆晃遠藤隆史
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 コロナ下で迎える東京五輪の開幕まで、あと3日。その社会を路上から見つめる人たちがいる。

 週末の東京都庁周辺は、にぎわっていた。ベビーカーを押す家族連れやカップルたち。都庁内のワクチン接種センターへ足早に向かう人もいる。

 にぎわいのすぐ近く。庁舎を結ぶ通路の真下にさしかかると、周囲はトンネルのように薄暗くなる。そこには、ブルーシートや段ボールハウスが5メートルほどの間隔で続き、路上生活者たちが横になっていた。高齢の男性ばかりではない。女性や若い人もいる。頭上には五輪マークの旗が揺れる。

2年前の転機、路上生活まであっという間

 近くで寝泊まりするようになって1カ月の男性(62)は8日、都職員とみられる男性から「道路管理の支障となっているので撤去してください」と書かれた紙を手渡された。期限は21日。「五輪関係のイベントがあるから」と説明されたという。開会式がある23日、都庁では聖火リレーのイベントが実施される予定だ。男性は「どこに行けばいいのか」と語った。

 10歳のころに上京し、中高はサッカー部だったという。高校卒業後にトラック運転手となり、各地を走り回った。2016年のリオデジャネイロ五輪の閉会式で、当時の安倍晋三首相がマリオの格好で出てきたパフォーマンスは都内のアパートで見た。「次は東京か」。胸が躍った。

 2年ほど前、人間関係のトラ…

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