(魂の中小企業)日本一のマネジャー、そして壊れた心
うつ、パニック。私は900万人の味方(上)
心の病は、つらいものです。筆者の私も昔、心が壊れかけました。心療内科に通うと、医師が言いました。
「あなたの心が弱いわけではありません。みんなに起こりかねないことです。ただし……、仕事を変えてください」
そうするわけにも行かず、ずるずると。人事異動で環境が変わり、自然に治りました。ラッキーでした。
さて、宇都宮市から車で20分ほどいった鹿沼市。そこに、「ミンナのミカタぐるーぷ」という組織があります。
障がいがある方たちに働く力をつけてもらう「就労継続支援B型事業所」。
障がい者と雇用契約を結んで働いてもらう「就労継続支援A型事業所」。
各地にある支援施設と企業とを仕事でつなぐ「マッチングサービス」。
そんなことをしている会社の集まりです。
「ぐるーぷ」全体を運営しているのは兼子文晴(ふみはる)さん、41歳。彼は、満面の笑みで言います。
「わたしは、この国から『障がい』という言葉と概念をなくしたい」
障がい者が、しっかり仕事をしていく。企業の大戦力になっていく。そうなれば、障がいは、ただの個性。障がいという言葉、概念がなくなる。
そう考えている兼子さん。じつは、心が壊れた経験があります。そこからの復活で、今があります。
前編後編、2回に分けて、彼の半生をお送りします。
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