第8回「下がって待機せよ」 トランプの指令に極右は興奮した

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ワシントン=園田耕司
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トランプの反乱⑧ 議事堂襲撃事件の真相 デザイン・田中和
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 前代未聞の米連邦議会議事堂襲撃事件が1月に起きる以前から、大統領のトランプの暴力を容認する言動にはさらなる暴力を誘発する危うさがあった。

【動画】1月6日に起きた米連連邦議会議事堂襲撃事件

 その発言が、ある極右団体の名前を一躍、全国区へと押し上げた。

今年1月6日に起きた、数千人のトランプ氏の支持者たちが暴徒と化して米議会議事堂を襲撃した歴史的事件の背景に迫る連載です。今回は、襲撃事件で大きな役割を担ったとされる極右団体に焦点を当てて、暴力の影がちらつくトランプ氏の言動を浮き彫りにします。

 大統領選まで1カ月余りに迫った2020年9月29日。第1回の討論会が開かれ、トランプと前副大統領のバイデンが最も激しい応酬を繰り広げた。

 トランプはこれまで「バイデン氏は極左団体を批判していない」などと繰り返し主張していた。司会者のクリス・ウォレスは、トランプの発言を踏まえ、こう尋ねた。

 「あなたは今夜、白人至上主義者や武装市民グループを非難し、彼らは退く(Stand down)必要があると言うつもりはあるか?」

 「もちろん。そうするつもりだ」

 早口でそう答えたトランプ。ウォレスはさらにたたみかける。

 「具体的にそうするつもりがあるか?」

 トランプははぐらかそうとする。

 「ほとんどすべて(の問題は)右翼じゃなくて、左翼が起こしているじゃないか」

 それでもウォレスは食らいつく。

 「しかし、あなたは(右翼には)何と言うつもりですか? どうぞ言ってください」

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ホワイトハウスで記者からの質問に答えるトランプ=2018年10月、ランハム裕子撮影

 トランプはウォレスの方に向かって右手をあげながら不愉快そうな顔で「何て言って欲しいんだ? 名前を言ってくれよ。だれを非難して欲しいのか、名前を言ってくれ」と返す。

 「プラウドボーイズだ」。バイデンが名前を挙げた。

 するとトランプは、カメラに向かって呼びかけた。

 「プラウドボーイズ、下がって待機せよ(Stand back and stand by)」

 そして、こうつけ加えた。

 「しかし、これだけは言っておこう。(反ファシスト集団の)アンティファや左翼に対し、だれかが何かをやらなければならない」

 4月下旬、プラウドボーイズ最高幹部のエンリケ・タリオが取材に応じた。オンライン取材を始める直前、携帯電話に確認のメッセージを送ると、「Stand by(待機している)」と返ってきた。

 画面上に現れたタリオは、サングラス姿。Tシャツにはスラングをまじえた英語で「すげえ右翼」と書かれていた。

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朝日新聞記者によるオンライン取材に応じる極右団体「プラウドボーイズ」最高幹部のエンリケ・タリオ

 帽子には「47代」の文字。「おれはトランプが(次の大統領選で勝利して)47代米大統領になることを信じているからだよ」と笑った。

 タリオはフロリダ州マイアミ出身のキューバ系米国人。トランプを支持しているのは「我々の国を最優先に考えるというトランプの『アメリカ・ファースト』の考えを支持しているからだ」と語る。

タリオ氏はいったい何を語るのでしょうか。記事後半では、プラウドボーイズ最高幹部であるタリオ氏のトランプ氏への思いや、その活動内容を伝えています。

 「私は日本人と日本文化の大…

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