「国民の7割が照ノ富士が勝つと」 白鵬、胸中を吐露

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 大相撲名古屋場所(愛知・ドルフィンズアリーナ)で全勝優勝した横綱白鵬(36)=モンゴル出身、宮城野部屋=が、千秋楽から一夜明けた19日、オンラインで報道陣の取材に応じた。主なやりとりは、次の通り。

――優勝から一夜明けた気持ちは。

 「昨日のあの厳しい、激しさはなく。素晴らしい日だね、今日は。最高です」

――横綱にとって今場所はどんな場所だったか。

 「本当に自分の相撲人生っていうか、今までいろんなこともあった。44回の優勝と、またその中で本当に思い出になるっていうか、上位に入っていくそれぐらいの価値ある優勝だったと思います」

――思い出の上位に入ってくる理由は。

 「やっぱり、相撲人生をかけたっていうのが」

――相撲人生をかけた場所で全勝優勝。

 「信じられないですね、はい」

――場所の15日間の中で気持ちの変化はあったか。

 「ありましたね。やっぱり肉体的にも、精神的にも、だんだん体が大きくなっていった」

――序盤は不安があったのか。

 「そうですね、やっぱり取りこぼしがなかったっていうのが大きいですね」

――不安があったから、初日勝った時のあの表情になったのか。

 「これでよし、行けるっていう。その表情ですね」

――場所の中で、手ごたえを感じた部分は。

 「初日じゃないですか。例えば分かりやすく説明すればね、野球だったら左バッターが右バッターをする。ゴルフだったら右スイングの人が、左スイングをする。その立ち合いで、初日の相撲で勝ったっていうのが大きかったですね。時々右足から出るっていうのはありましたけど、やっぱり左足から踏み込めば、軸の足が右なので、15日間もたないっていうのは頭の中にあったので」

――右足での踏み込みが通じるのかどうか不安があったのか。

 「だって、(場所前の)調整が三段目だもん、稽古したのが。だから右バッターが左で打つってことだから。出来ます? みなさん。シーズン中だよ、シーズン中」

――これだけ気迫を前面に出す白鵬も初めて。

 「やっぱり追い込まれました。追い込まれたという思いですね」

――今まで以上に引退という道も隣り合わせで考えながら過ごしたか。

 「この場所で引退っていう2文字が近づいて、本当に隣に来ていましたね。だから、今まで以上に自分を奮い立たせた」

――引退という文字が今場所自分の中で消えたのはいつ。

 「やっぱり勝ち越しですかね。51回目の8戦全勝した時かな。横綱になっても、やっぱり勝ち越しっていうのは一つクリアっていうのかな。自分の中では、10勝が横綱の勝ち越しだと思っているのでね。12勝が2桁。まず勝ち越し、8番で。それが10勝して、じゃ12番だな。12番になった時に、これで優勝を目指そうっていう気持ちになりましたね」

――結果を出して今は進退はどう考えているか。

 「それは僕が考えることじゃないんで。周りが進退って言われたらもう進退だし」

――15日間を終えて、今の右ひざの状態は。

 「多少は水がたまってますね。今日朝起きたら、その感覚です」

――14日間、照ノ富士とずっと星が並んでいた。

 「本当に14日間、下で見て、自分が上に上がったんですけど。もちろん後に上がる方がね、プレッシャーがありますから。まあそれは、44回優勝している経験が生きていたと思うし」

 「(照ノ富士は)本当に安定感がある相撲だったね。何年か前の相撲とはまた違って、本当に緻密(ちみつ)な動きをしていた」

――復活優勝を果たした。次は何を目指す。

 「今日は朝起きた時に、今日は何もないんだよなって気持ち良さを久しぶりに味わったね。今日、稽古場行かなくていい。体を動かさなくていいっていう。まあ、次ってなったら勘弁してもらいたい。ゆっくり休んで」

――横綱が2人になって、また新たな気持ちになれるか。

 「責任感がまた1人から2人なりますからね。ちょっと楽になるかもですね」

――14日目の正代戦での立ち合いには、どんな狙いがあったのか。

 「やっぱりひざが良くないからね。踏み込み負けをしたとしても、しょうがなかった。その日の朝起きて、あの立ち合いかと思って。(自分でも)あそこまで下がるとは思わなかった」

――照ノ富士戦だけは、右足を軸に左足で踏み込んだ。

 「いや、無意識ですね。あ、左だったか。今場所初めての左か。まあ夢中でしたね」

――優勝決めて見せたガッツポーズや叫んだ時の思いは。

 「引退っていうのがこんなに自分に迫ったっていうのは初めてだった。12勝した時点でクリアしたっていう自分の中で思った。もう一つクリアってやっぱり、優勝だったんですね。それができてしまった、してしまった。7割の国民が力的に照ノ富士が勝つと思っていた。自分の中でも、何年も一緒に稽古をしていないし、何年ぶりかの取組でもあったので、どうなのかなという思いもあった」

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