第2回孤立する首相 「五輪中止」再三の進言、取り合わず

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「最後」の緊急事態宣言
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 昨年9月16日の就任会見を菅義偉首相新型コロナ対応で切り出し、こんな誓いを立てた。「国民の命と健康を守り抜きます。そのうえで社会経済活動との両立をめざします」

 感染防止対策とコロナ禍で傷んだ経済の再生と、相反するような二つの目標を並行して走らせることにした菅政権。就任以来の軌跡を追うと、そこに潜む構造的な問題があぶり出されていく。

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 菅政権は、なぜ4度目の緊急事態宣言を出すことになったのか。判断の舞台裏と、新型コロナ対応にみえる政権の実像を2回にわたって報告する。

 政権のコロナ対応が最初に大きな注目を浴びたのは、昨秋の第3波のことだった。10月、首相は旗振り役を務めてきた観光支援策「Go To トラベル」で、東京都民や都内への旅行を対象に加えた。全世界からの外国人の入国受け入れも一部再開。経済の活性化にアクセルを踏んだ。

 同時にこのころ、コロナの感染が急拡大した。政府の分科会は11月20日、感染状況が2番目に深刻な「ステージ3相当」と判断された地域はトラベルを一時停止するよう提言。尾身茂会長は「政府の英断を心からお願いしたい」などと運用見直しを求めた。

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観光支援策「Go To トラベル」事業も、補正予算に計上された。精査が不十分なまま始まった事業は、長期停止が続く=2020年12月28日午前10時59分、東京都台東区、瀬戸口翼撮影

 政権発足直後に500人前後だった1日の全国の新規感染者数は、5倍近い2500人程度まで増加。西村康稔経済再生相は「勝負の3週間」と銘打ち、集中的なコロナ対策を訴えた。専門家の一人は「『旅行は行っていいのに宴会やってはいけない』というメッセージは混乱を招く」と警鐘を鳴らしていた。

 しかし、政権は感染拡大との影響をあいまいにし、トラベルを止めなかった。首相に近い自民党幹部は「地方はトラベルがあるからやっていける。止める必要はない」。首相側近はこんな見通しを示していた。「感染者が増えれば、国民の警戒感が高まり、自然とピークアウトするのでは」

 首相がようやく全国の一斉停…

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